My life as a cat
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2010年10月09日(土) 栗山さんちの栗

新しいシニアマネージャーがやってきた。マネージャーと同期入社だというし、こんな若いシニアは他にいないから相当なやり手と囁かれていたが、来た初日全員と面談し業務内容やら問題点を聞き出して、翌日彼の机上に分厚い"業務改善ファイル"なるものを見つけた。わたしのようなチンプンカンプンを一から叩きなおそうとする情熱のあるアツい男で、非常に勉強になるし、有難く思っているのだが、一度つかまったらお互いに納得するまで家に帰れないから、定時以降はなるべく目を合わせないことにした。声が大きめで物をはっきりと言い、ばんばんと指示を出して、確実にリーダーにふさわしいと周囲を納得させてしまう雰囲気を持つこの人と裏腹にマネージャーときたらなんと軟弱なことか。猫背で、へこへこしているから部下になめられまくりで、部下に仕事を頼んでは断られ、夜な夜な自分でこなす始末。帰国子女で英文など書かせるといつになく目が輝くのだが、世界中の殆どの場所で通用するであろう一般常識が通用しないので、彼が書いた報告書のドラフトをわたしが添削し、"なんでこんな不利なことを書くんだ"とか、"あんなに頑張ってうまくやった功績をどうして報告しないのか"などとぶつぶつ言いながら仕上げる始末。わたしもたまに辟易する。みんながどうしてそんなに彼にやさしくするのかと言うから、誰もやさしくしてあげないからだと答える。しかし、本心はマジョリティであるということで自分が上位にいるように錯覚し、安堵して彼の悪口を言う連中よりも、出来が悪くても人を陥れるような要領の良さや意地の悪さを持っていない彼のほうがよほど好きだ。人間なんてひとつ良いところがあれば十分なんじゃないか。

定年退職して嘱託で働いている"栗山さん"が今年も栗をくれた。元気でぴんぴんしてた去年と違って、今年は何度も入院して、顔がいつも腫れたように浮腫んで、やっとのことで歩いていたから栗拾いができて何よりだ。このおじいちゃんはこの世代の日本男児には珍しく、いつも朝一番に来てはみんなが飲むコーヒーをサイフォンで落としてくれて、奥さんがどれだけグレートなのかと自慢する。

今年は母に教わって栗の渋皮煮に初挑戦した。渋皮を傷つけないように注意して殻を剥き(ちょっとでも傷つけるともう爆発してしまう)、大根おろしと重曹を入れて3回煮る。次はまた3回ただの水で煮る。最後に砂糖と一緒に煮てブランデーをどぼどぼと入れる。最高のデザートの出来上がり。残ったブランデーをちびちびやりながらつまむのがよろしい。


Michelina |MAIL