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| 2010年03月21日(日) |
いつかいつか、きっといつか |

体の具合が悪くて冬眠中の熊のごとく眠り続けた一週間。たっぷり脂肪を蓄えてきたものの、さすがに手術当日身支度を整えようと起き上がり鏡を見るとげっそりやつれてぐんと老け込んでいた。会社には話すしかなかったけれど、妹の病気が治って晴れ晴れとした両親の元にわたしの悪い知らせはしたくなかった。一人暮らしはこういう時心細い。
元気だった先週末はアレンとお台場に行った。ゆりかもめに乗った思い出は数年前自分の病気のことで孤独で不安にひとりで知らない病院にドクターを訪ねたことくらいだった。アレンに手をひかれ、夕暮れ時の東京湾沿いをゆっくりゆっくり5駅分も歩いた。クレープに、トヨタのF1体験シアター、ごくごく普通のデートが灰色の思い出を虹色に塗り変えた。
楽しむだけ楽しんでいつか適当にさようならする関係と思っていたのに、最近彼のインテンションが変わってきているように感じて、その空気に押し流され気味だった。深入りされればされるほど無意識に何かを期待するようになってきていた。
しかし、楽しい時間をシェアすることは簡単だ。この辛い一週間、朦朧とする意識の中で思い浮かぶのは、ただの生理痛でも温かい手で背中やおなかをさすって辛い時に一緒に泣いてくれたマーヴの顔ばかりだった。
手術が終わるとアレンが待っていた。わたしの家に来て夕飯を作ってくれた。優しい言葉をかけるかわりの彼なりの愛情表現なのか。心身共に弱り果てたとき、彼の言葉の素っ気無さが骨身に堪えた。やっと素性の知れない彼と打ち解けてきてと思っていた矢先、この一週間でわたしの中で彼に対して一線が引かれた。いつもと同じ夜がきて、いつもと同じ朝に駅で仕事に向かう彼とハグをして別れる。もう彼について深く考えるのはやめた。いつか楽しい時間だけではなく、辛い時間もシェアしてる人、心の真髄を温めあえる人にもう一度めぐり合えたらと切に思った。