My life as a cat
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2009年03月15日(日) またひとつの灯を消して

キシ君と映画を観る約束で銀座で落ち合った。先週当人に手をひかれてはじめて降りた"平和島"が名実共にあまりにも似合いすぎていて、生まれも育ちも東京といえども銀座なんてところに来られるのか心配したが、案の定あまり土地勘がないらしくぎこちなくよたよたと現れた。

あまりにも天気が良いので暗い映画館に引きこもってはもったいないと予定を変更。皇居の周りを散歩して腕まくりをして久々の太陽を存分浴びた。こんなにして顔のシミは増えていくが、その時々をハッピーに過して自然に老いていくのがいい。

日が傾きかけるまでおしゃべりして、街に戻った。夜が近付くにつれて気が重くなった。ひとりで考えて考えて昨日堅く決意してきたことがキシ君の純朴さに揺らいでいく。何もなかったように楽しく夕飯を食べて帰ろうか。でもやっぱり心優しい彼を後々深く傷つけるかもしれないのが恐い。ゆっくりと夕飯を食べて、おなかが少し落ち着いたところでゆっくり切り出した。大体において男性は自分の用意が整った時に結婚したいと思うもののようだが、キシ君はまさにその時だったのか。わたしはそんな状態にない。そんな夢はマーヴに使い果たしてしまったのかもしれない。

悲しそうだったけれど、納得してくれたようだった。あれこれと話し合って最後は笑ってくれた。わたしのために長時間煙草を我慢していたのが意地らしかった。
「一服したら?」
と灰皿をあげると少し表情が和らいで、わたしと一緒だった禁煙タイムを取り戻すように立て続けに4本も吸った。

もう女は懲り懲りだなんて言わずに、頑張って良い奥さんを見つけると言ってくれた。握手をして別れた。帰り道はほろ苦くて、このほんの数週間忙しく知り合ったことばかりが思い出された。


Michelina |MAIL