My life as a cat
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2008年11月15日(土) My kind of place

昨日、わたしの前任者が花束を抱えてすっきり顔で去っていった。仕事は難しく、がんばり屋さんほど気を病んで辞めてしまうらしい。といえども、新しいことばかりで面白い。男性が圧倒的に多いが、仕事に対してはサムライ、女の子に対してはイングリッシュジェントルマンになるという大変好ましい人々で、人間関係に心乱されることなく、仕事に集中できる。やっと自分の安住の職場に落ち着いた気分だ。

靴底を直しに近所のリペアショップに行くと、いつものおじさんがいない。"いつものおじさん"は全く商売気なく、わたしの古いけど、手入れの行き届いた美しい靴を見て、
「新しいの買ったほうがいいんじゃないのぉ?」
とあっさり一蹴したのだが、後任者もちゃんとその魂を受け継いだらしい。同じことを言ってくれた。しかも、
「3日かかるよ。」
は?靴底に3日?100事くらい文句を言ってやろうと体内のエネルギーを脳に集めて荒い呼吸をしていたら、中から別のちびっこいおじさんがにょろにょろとでてきて、靴を手に取り、
「30分!」
と訂正する。どうしたら3日が30分に変わるのかよくわからないが、30分待って戻ったら、ちゃんと出来てた。

夕方、元々魚屋だったスーパーに行くと、殻付きの牡蠣が売っていた。父の大好物なのでたまにはご馳走してあげようと思ったが、どうやって殻を開けるのか。近くにいた店員に聞くと妙に詳しく説明してくれた。ツボがあるらしい。開け方を習ったところで袋に詰めていると、色んな人がどうやって開けるのかと聞いてくる。お兄さんの説明をオウムの如くリピートすると、ふむふむとみんな感心して聞いている。レジに並んでいたらまた背後の女性に同じことを聞かれる。家に帰りまた家族に説明。もう牡蠣のことなら任せてください!

レモン汁を垂らし、父が音をたてて啜る。妹が病床に臥して以来、血圧があがり、共倒れのようになっていた母もその音につられ、ひとつ奪い取るようにしてツルリと飲み込み、ウマイ!!と叫ぶ。牡蠣を挟んで両親はとてもハッピーな顔でビールを飲んだ。数ヶ月ぶりにこの家に魂が戻ったようで、それは何よりもわたし自身を満足させたのでした。


Michelina |MAIL