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この猛暑で今日もエルちゃんの息づかいが荒い。厚い毛皮を持って生まれたヨーロピアンの彼をこんな夏の猛暑厳しい極東まで連れてきた父が疎ましい。虐待などしていないけれど、苦しそうで居た堪れない気持ちになる。いつもこういう血統証付の犬をヨーロッパから引っ張ってくるのは自称犬好きの父だ。こういった犬達はそもそも人間の利益の為に無理なかけ合わせの中で生まれているから、体が弱く、皮膚病にかかったり暑さで死んでしまったり、短命だ。2時間おきくらいに水に氷を入れてあげる。だから父が帰ってきて、氷水を飲みたい時にもうない。
「あなたの愛犬が飲みました。」
と母に冷たく言われては、言い返す言葉もないらしい。このか弱い人口犬のエルちゃんと裏腹に野生動物はたくましい。庭の百日紅の小枝に停まってピーチクお喋りする緑色の鳥達は帰り際に抜け落ちたエルちゃんの毛をくわえて飛び去る。どこかに巣作りをしているのだろう。と、ふと歯医者の帰り、鳥の巣を見つけた。中から4羽の雛が顔を出して、目をぱちくりさせて同じ表情でこちらを見てる。お母さんがどこかから餌を運んできて、夏バテ知らず、食欲旺盛な4羽はひたすら嬉しそうにモグモグモグモグ忙しく食事をしていた。