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今日も快晴。ひとり早起きしてしまったから、コーヒーを入れて早速昨夜仕入れたセイロンカレーパウダーを試してみることにした。ガーリックとジンジャー、玉ねぎを炒めて、あとは冷蔵庫にあったズッキーニとにんじんを入れた。トマトがないのでトマトソースを、コクがないので醤油をたらり。まぁ、なんとかそれなりの味になった。カレーリーフとか入れてちゃんと作ったらさぞかし美味しいだろう。ちょうどアレックスが起きてきて、カレーの匂いを嗅ぐなり、反射的と表現したいくらい自然にパパダムを用意してくれた。冷蔵庫一掃のブランチ。明日からアレックスがビジネストリップにでて、明後日はサマンサが帰郷、明々後日にわたしが帰国。みんな一日違いにいなくなるのだ。蒸したコーン(パースのあまり甘くないワイルドな味のコーンはわたしの大好物!!)とカレーとライス、昨日買った中華チマキ(これを今日食べるのには歴史的な意味があるのだ)、胡麻汁粉も飲んだ。
午後からサウスへドライブ。目的地はMandurah。空は青く、情緒ないおもちゃの町のような新しいサバーブとパサパサに乾ききったような低木がやっと生き延びているような風景が繰り返される。途中でトイレに行きたくなり、20分ホールドしたらいよいよ無口になり青ざめてきた。男は女より長時間我慢できるものなのか?アレックスはあと10分で着くよ、と簡単に言う。5分頑張ったがもう無理だぁ、止めてくれぃ、とHWY脇の茂みにかけこんだ。青空直下のワイルドトイレはなんと気持ちのいいことか。清々しい顔で車に戻り、すぐそこのカーブを曲がったらペトロルステーションが見えた。
Mandurahは屈指の土地の高い場所らしい。水辺にはミリオネアハウスが立ち並び自家用ヨットは自宅前にパークである。当然ある程度年のいった人々が多い。そのせいで若者が好むような店はまず見当たらない。ハーバーのパブに席を取り、ワインを飲んでゆっくりした。帰りがけちらりと寄ったオージーのおじさんがアジアを旅行しながら集めた雑貨が売られているアンティークショップは、なかなかインプレッシブだった。おじさんは悪い意味じゃなく本当のアジア好き、アジア人好きらしくてとても良い人だった。自分が社会でうまくいかない理由をオージーがレイシストだからだとなすりつけるアジア人をわたしは嫌悪する。そういう人に限って欧米文化を決して理解しようとはしない。こんな風にアジアの文化を理解してここに住むアジア人を理解して、貧しいとか汚いとか、日本人に至っては英語ができないとかいう見下ろす角度でなく謙虚にただ違うのだと理解している柔軟なオージーだって沢山いる。すっかり話し込んで、帰りにドラゴンフライの絵の入ったティースプーンをGood luckなのだと言って持たしてくれた。
夜、スビアコに最後の晩餐に出た。少しだけ酒を飲み、キングスパークを散歩した。今月に入ったら急に冷え込みが厳しくなった。
「サマンサもわたしも同時にいなくなってあなたは毎晩泣くでしょう。」
とアレックスをからかった。
「多分ね。でもここに来てそんなことばっかり繰り返してもういい加減そういうのに慣れたよ。」
切ない。わたしも慣れた。一晩泣くけど次の日はもう忘れる。キングスパークの夜景も変わった。年々色んなものが増えていく。自分の身のまわりの変化に心が追い着いていかない。