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| 2008年05月17日(土) |
何事もなかったように |
朝のキャニングリバー沿いをウォーキング。陽が射して燦然と輝き放つ濡れた青い芝生、きりりと冷えた秋の空気、体内から全て洗われるようなパーフェクトな朝。Waterfordには住んだことがあるけれど、その時はこんな風に歩いてみたりする余裕がなかった。
歩きながら沢山話した。アレックスとわたしはどちらかが一方的に話すとかいうのはなく、同じくらいお喋りだ。合うのはコモンセンスが近いからだろう。いつもと変わらない他愛ない会話と笑いがあった。
昨夜一度自分の寝床に就いてから寝付けずに立ち上がってアレックスの部屋の前まで行った。色んな感情が渦巻いていた。誰かと一緒にいたい。じゃぁ、アレックスと寝たいのか。隣に寝るのはいいけどセックスしたいのか。夜中に男の部屋を訪ねるってそういうことでしょう?その前に相手の気持ちは?ボーイフレンドを愛してると言い張る女友達に部屋をノックされる気味悪さ。普通の感情を持った男ならこんなに萎えるものはないだろう。わたしは真っ先にマジメと形容されるような人間ではないけど、友達と寝たことはない。さびしいのだろうか。いや、違う。じゃぁ、アレックスが好きなのだろうか。好きだけど性的に魅了されないからただの友達として長々付き合ってきたんだ。
恐いものみたさだったのだろうか。やっぱりノックした。うとうととアニメを見ていたので黙って隣に横たわって一緒に見た。戸惑っているようだったけれど、手を握ったら笑われた。当たり前だ。我ながら友達の手を握るなんて気味が悪い。何がしたいのか解らず、自分の行動にショックを受けてパニックになっていた。男は相当なことがない限り、ベッドに潜り込んできた女を追い払うことはないでしょう。それから2時間くらい喋って気付いたら眠っていた。
自分の壊れ加減があまりにも悲しかった。両親と妹はみんな一度ずつ精神的な病気を抱えたから自分だけはこうなってはいけない、強くいようと誓ってきたのに。悩むことや泣くこと悲しむことは大切で、これがない人間のほうがよほど不健康だろう。けれどそれは強くあることとは別のことだ。わたしは沢山泣いても強くいたい。
何事もなかったように一日がはじまり、ビールを造るキットやら庭に植える植物やらアレックスの買い物に着いてまわった。夕飯は散歩がてら近所の小汚いマレーシアンレストランで美味しくもないカレーラクサを食べて遠回りして帰った。相手が何事もなかったように振舞ってくれるのが有難かった。それか彼にとっては何事でもなかったのかもしれない。わたしもThank youもI’m sorryも言わなかった。通りかかった動物病院で窓に体を押し付けてこっち側に来たがった愛らしい猫のことを考えながら自分の寝床で休んだ。