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久々に清清しい朝の目覚め。4日前に湯冷めしたせいか咳、鼻水、声のかすれ、横隔膜の痛みという症状があったのが一晩寝る度にひとつずつ治癒していった。睡眠は一番の良薬だ。
沢木耕太郎の「無名」を読んだ。亡くなった実父の89年間の無名の人生と親子の時間の記憶が静謐に感慨深く綴られている。一合の酒と一冊の本があればいい、執着心がなく運命に抗うことをしない父をありのままに受け止める家族達。作者は紛れもなくこの人の息子である。有名になったのは自己顕示欲ではなく才能が運命をそう導いたのだろう。父は「不運だった」のであり、「守るべき存在だった」という決して相手を嘆かないあまりにも行儀の良い奇妙な親子関係ながらも、丁寧語で話すよそよそしさながらも、血の繋がりによる強い絆を感じる温かい作品だった。
夕飯はワラビと筍のナムルが入った春のビビンパップ。ごま油が食欲をそそってついつい食べ過ぎてしまう。