千羽鶴を折っている。ほんの簡単な夕飯を作るにも、なんでも手伝いたがって野菜を洗ったりしてくれたマーヴがいないことを実感して、あらゆる生活のことをおろそかにして、ただ堪えるように時間を持て余しているわたしにはうってつけだ。スカイブルー一色の全部同じ鶴。折っても折っても終わらない。そのうち肩が凝ってきて眠ってしまう。奥さんと子供を残して自分だけが先にここに移住してきた隣人は、マーヴがわたしの周りをうろちょろしなくなったてから妙になれなれしい。休日にどこかへ行こうなどと誘われるたびに寂しさを舐めあうような関係を想像しては悪寒がはしる。夜中に彼がたてる物音などはたまらなくわたしをナーバスにする。今のわたしに必要なのは寂しい人なんかじゃなくて安心して眠れるあたたかい寝床だ。