My life as a cat
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2007年03月12日(月) 猛暑の震え

3月の記録的な猛暑の日、マーヴはわたしを残してどこかへ行ってしまおうとした。家に戻ると部屋の様子がおかしくて彼の部屋に置きっぱなしにしていたわたしの物が全部戻されていた。夕飯の準備をしながら、どうしたのだろう、部屋の生理整頓でもしていたのだろうかと軽く考えていたが、昨夜のことを思い出したら体中に震えが走り出した。お菓子を沢山買ってきて、夜寝る前に美味しそうなチョコレートの箱をわたしが眺めていたら、「あっ、それは食べ切れなかったから君のために冷蔵庫に入れておくよ。」と言った。わたしにくれなくても明日食べればいいのにと少しひっかかっていた。シャワーを浴びたら寝る前に10分だけ何か話そうね、とも言って、とりとめもなく、もし僕が死んでしまったら悲しい?などと聞かれたのだった。暑くて眠れないのだと水枕を作ってあげるとそれを大事そうに抱えていた。

マーヴは病院に運び込まれた後に拘置所に連れていかれた。わたしは彼の抱えた大きな問題など何も知らなかった。家族も親友のデイヴィスも知っていたのに、彼がわたしを失うことを恐れてみんな口を噤んでいた。学校をようやく終えて仕事を探し始めてそれもうまく行きそうだったから、そうしたらすぐに結婚しよう、子供も欲しいねと夜な夜な話していたから、もうすぐだ、もう少ししたら彼とずっと一緒にいられるのだと思っていた。しかし、今となればわたしが目を輝かせるたびに彼は心のどこかで本当にそんな未来をあげられるのだろうかと苦しんでいたのだろう。

確かな情報もなく、ただただ待つ時間は長くて苦しい。大好きだったこの空も今では彼を数年にも渡って苦しめた憎い国のものでしかない。


Michelina |MAIL