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ある金曜の夕方、雑多な事情からある高級レストランにいた。予約の状況に準じて食材を仕入れるその店に、突然パリッとスーツを着込んだハンサムな男とその男の倍は横幅のある太った女が「通りすがりなのだけれど、いいかな?」と言って駆け込んできた。男はメニューも見ずにとりあえずと言って前菜とワインをオーダーして、それから食後のコーヒーを飲み終えるまでテーブルに胸を置いているかのように窮屈そうに座っている女の手をずっと握り締めて、二人はずっとにこやかに会話していた。
こちらでは「ハンサムと太った女」なんてよく見る組み合わせだから別に珍しくもなんともないけれど、見た目もよく、羽振りもよく、もてそうな男が、ここまで太った女にメロメロになっている理由はなんなのだろうとふと思って、この話を周囲の人間に話してみると国民性の出た面白い回答が得られた。
欧米暮らしが長くて日本人的感覚を忘れかけてるAちゃんは、
「その男はある日泥酔いして間違えてその女と寝ちゃったんだ。そうしたらあまりにもの肉感の気持ち良さにはまっちゃたんだ。」
と言い、29歳の至って普通のオージーのフィリップは、
「その男はすごくいい奴に違いない。でも俺はそんなに優しくないからデブはお断りだな。」
といい、シェアハウスのオーナーでイギリス人の中年ステファンは、
「その女は金持ちに違いない」
などといい、もうわたしはずっと噴出しまくりだったけれど、最後の最後にこちらでまだ半年、大和撫子な日本人Bちゃんから、
「きっとその女の人はすごく性格がいいんでしょうね。」
という回答が得られた。日本人ならやっぱりこれでしょう?