My life as a cat
My life as a cat
DiaryINDEXpastwill


2006年07月10日(月) Blind Willow, Sleeping Woman

シティに新しくオープンしたアメリカからきたというブック・ストアに行ってみた。日本でも数年前から点々とオープンしはじめたあのカフェと一体化していて腰をおろしてゆっくり本を物色できるやつ。でも、いまだかつてやったことはない。だって私有の本には絶対ポテトチップスの油とかコーヒーのシミとか何かしらかついてるから。

入り口を抜けて真っ先に目にしたのは"Haruki Murakami Blind Willow, Sleeping Woman"。三列にもわたる平積み。こんなに国際的人気を得ていたのね。ページを開いていつの間にか熱中してしまい、突然肩を叩かれて飛び上がった。振り返るとしっかりスーツを着込んだビリーが立っていた。"Wow! How have you been up to!!"と興奮気味なわたしに"Fine. Just simple life,,,"などと浮かない顔つきで淋しそうに答える。3年前の女の子とみれば誘わなきゃ失礼にあたるくらいの勢いはどこへ消えてしまったのか。本気で愛して結婚を約束した日本人のガール・フレンドに痛い痛い振られ方をして以来、何か狂ってしまったのだろうか。むくんだような太り方もあまりにもジェントルな喋り方もまるで別人のようだった。「僕は先生になったんだ。だから生徒はダメになっちゃうよ。」などと言って力なく笑いながらそっと手を振って消えていった。

少し落ち込んでしまった帰り道、家の前の会社で働いている男性が仕事を終えてコートの襟を立てて出てきた。2ヶ月前から曖昧に誘われ続けて、曖昧に断り続けていた人だった。「まだ、僕の入る余地はあるかな?」と聞かれてまた答えることが出来なかった。風が冷たくて寒いせいか、みんな悲しそうに見えてしまう。


Michelina |MAIL