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ほろ酔いで家に帰ると、顔つきのおかしいジェイミーがタバコを吸いながら待っていた。わたしの住処は"ついでに"寄れる街の中心にあるから、電話を持っていないわたしとコンタクトを取りたい人はみんなここへ来てしまう。彼は家族経営の会社で、兄弟の末っ子としてただひとりプロフェッションを持たず、"ビジネスマン"などという呼ばれ方で"OL"と変わり無い仕事をこなしている。お金持ちだけれどお金の使い方を知らず、頭はいいけれどきちんとした教育を受けていない。
わたしを見つけるとつかつかと近寄ってきて、必要な物はないか?おなかは空いていないか?と虚ろな目で訊ねながら吸殻を地面に投げ捨てる。お酒とタバコだけではない、なにかやらかしていると思った。心優しい彼を何がこんな風にしているのか。「そこに吸殻捨てないでよ」と言うと拾って誰かが育てているハーブの中に投げ捨てた。彼の無教養はたまにわたしを苛立たせる。何も必要ないと言うと悲しそうな表情をしてそこに立ち尽していた。疲れていたので部屋にあげる気にもならず、悪いけど今日は帰ってくれないかと言った。オーケーと言ってされた力ないハグとキスの香りがあまりにも苦々しくて、部屋に戻って涙が出てきた。心配してくれる人がいることを涙がでるほど有り難く思っているのに、感謝の気持ちの伝え方が解らない。今のわたしに必要なのはきっと健やかで元気な人だけだ。