My life as a cat
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2005年12月21日(水) 太陽待ち

辻仁成の長編小説「太陽待ち」を読み終えた。戦中は助監督として南京での国策映画制作に携わり、21世紀を目前にその頃に見た太陽を忘れられない愛した人に重ね合わせてもう一度映画に収めるため、ひたすら同じ太陽がでるのを待ち続ける井上という監督。そしてその映画に携わる人々の周囲に漂って交差する過去と未来、光と闇、死と永遠のストーリー。戦争の渦中を生きた過去の人々とこれから21世紀を迎える現代の人々の間を植物人間の魂を漂わせる男、その命が絶たれた時、その世界は永遠を手に入れる。愛に翻弄され、裏切りに苛まれ、過去に執着する人間達の儚さが哀しく切なく愛しい。

辻仁成が村上春樹に挑戦したなどと囁かれたこの小説だけれど、「ねじまき鳥クロニクル」にはない辻流のセンシティブな美しさがここにはあると思う。


Michelina |MAIL