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事業部のボスに逆らえる人はいない。ボスの言うことは絶対であり、ボスの指令ならば細部まで要望に沿って忠実にこなす。ボスのみならず、位の下の者は黙って上に従うのみというのがこの事業部の掟。年功序列などは全く無く完全実力主義。営業成績だけが全て。それで自分の地位が決まる。それは正に猿の世界。
ボスがトップに上り詰めるまでの経歴を知る人々は「アイツは営業の鬼」と口を揃えて言うほどだし、わたしから見ても貪欲で根性のある人なので尊敬はしている。
けれど、わたしが女だからなのか、営業をしているわけではないからなのか、わたしはボスの言うことは"絶対忠実に"とか、ボスのためならどんなに効率の悪いことでも喜んでなどとは思えない。ボスの指令でもあまりにも効率の悪いことならば事情を話してボスの納得するような代替案を提案してみる。が、それは男性陣に言わせれば「Michellinaさんは恐いもの知らず」ということになるらしい。彼らは絶対にそんなことは言えないという。確かにボスに物申すのは恐れ多い。けれどボスも効率の悪いことは会社のためにはならないから全く聞き入れてくれないというようなことはない。ボスがワンマンというよりもどちらかというと男性陣がびくびくし過ぎるのでは?とわたしはたまに彼らにイライラする。
今日もボスがわたしがやっている仕事の進捗状況を纏めて欲しいと男性社員に頼んだようで彼からわたしに指示がでた。わたしは大まかなところをリストアップし、プリントアウトして、後は時間も紙も無駄なのでパソコンの画面上でチェックしてもらってくださいと言い彼に渡すと、彼は「そんなことは言えないからどうしても最後までやって欲しい」と青ざめながら頼んできた。わたしはちょっとイライラして「ボスは実力があるからボスなのだし偉いと思って尊敬しているけれど、だからってどんなに効率が悪くてもボスの言うことなら何でもやりますなんてわたしは思わないよ。」と言うと彼は余計青ざめて「・・・そうですか・・・でも・・・・やっぱり・・・お願いします」と懇願された。わたしは会社に人生を捧げますなんていう気はないから効率が悪かろうと本当はどうでもいい。ただそのスタイルに同調しないという自分の意見を言ったまでだと彼に告げ、黙々と仕上げにかかりながら考えた。
でもこれは自然なのではないだろうか。強い猿がボスになって上に立ち統治する。そしてこれといって力を持たない猿は強いボスに着いていく。または自分もいつかボス猿になろうと上を目指す。強いボス猿が統治できなければ誰が統治するのか。また強いボス猿が尊厳をなくしてしまったらあらゆることがうまく廻らない。そう考えたら「異常」だと思っていたこの事業部の在り方が実は一番「自然」に近い形だったのではないかと思えてきた。わたしはきっとこれからも彼らのようには考えられない、けれど男性の世界がこう在ることで地球はうまく廻るのかもしれないと思った。