My life as a cat
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2004年11月26日(金) 嘘の効用

塩野七生の「男たちへ」を読み終えた。文化的背景や歴史的人物を引き合いに出しての深い男の考察に唸ると同時に男への優しさを秘めながらも著者独特のあの鋭さとキツさで斬ってしまうところに苦笑しながら。

最近欧米人の友達と日本語でいう「愛している」という告白について話していた。あちらは愛していれば「I love you」と口にするのだろうけれど日本語に直すとどうもぴんとこない。女の人は感情的な人が多いのでどうにか想像つくものの、わたしの日本人の男友達がこんなことを口にしているのは想像がつかない。本人達に聞いてみると「言うよ。酔っ払った時」などという答えがかえってきて、んもーー!という感じだが、でもでも、やっぱり素面ではなかなか日本人は使わない言葉なのかな。「好き(like)」はよく使うと話すと友人は「結婚したカップルなどが"I like you"などと言いあうのはとてもおかしい」と言う。

そんな矢先、この本にまさにこれについて触れている箇所を見つけた。著者も"Like"のように物に向ける表現と同列に置かれては我慢ならぬと言っている。そして日本人男性にこの自然に響かない「僕は君を愛してる」という言葉を恥ずかしい思いをさせて言わせてみてはどうだろうかと提案している。なぜならば人間は自分で口にだした言葉は誰よりも先に自分の耳に響いて頭脳を通過してくるものでそれによってただ心の中で感じているうちはまだ定着しなかった思いがしっかりと固定されるからだと言う。だから全くの嘘からの言葉は成り立たないけれどほんの少しばかり嘘(煮え切らない気持ち)があってもこの言葉を発することによって本当にその女を愛するようになるという。

納得。わたしも少しの迷いがあっても一旦口にだして他人に打ち明けてしまった気持ちは心に定着されて自分でもそのように認識してしまう。

ところで先日も触れたけれど、古本屋で購入したこの本にあまりにも激しい書き込みがあって、しかも読んでいくうちにだんだんこの本の前主はなかなかの変態なのではないかと思うようになった。そして本を閉じ、続編の「再び、男たちへ」を開いたら今度は落書きはないものの本に前主の名前が書いてあった。うーーん、わたしは本に名前を書いたこともないけどなぁ。


Michelina |MAIL