My life as a cat
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2004年10月19日(火) パイロットフィッシュ

パン作りの合間を縫って一人ぼっちの静まり返った部屋でひっそり大崎善生の「パイロットフィッシュ」という小説を読んだ。

「人は一度巡りあった人と二度と別れることはできない」という強烈なインパクトの出だしから始まり、主人公の40過ぎの男の元に19年ぶりにかかってきた過去のGFからの電話から淡々と甦る過去。「過去」は単に過ぎ去ったことではなく確実に現在を作り上げたものとして存在している。パイロットフィッシュは水槽を綺麗に保つ生態系を作らせるために水族館の水槽に本命の魚を入れる前に入れられ、生態系を作ったらそれで用無し。あっさりゴミ箱に捨てられてしまうような儚く哀しい存在である。けれど水槽の生態系は永遠にパイロットフィッシュと別れることはできない。

日中はひとりぼっちの宇宙に住んでいるような気分になって自分の存在理由を考えては悩んでしまうわたしを「自分は確実にどこかで誰かと繋がっていて、過去に泣く泣く別れた人も本当はまだ自分の中のどこかに住んでいるのだ」と孤独の底からすくい上げほんの少し体温を上げてくれるような小説だった。


Michelina |MAIL