イイノナホさんの作品展を見に吉祥寺へ行ってきました。 ライフワークといって差し支えないクローバーのペーパー ウェイトの本の出版記念展 『ガラスとヒカリ』 と銘打た れた会場は、その軌跡をたどりつつ奥へ行くほどに卵形 の作品がたわわに集うすてきな展示になっておりました。
イイノさんの作品は、とても軽やかです。 ガラスという硬い素材であるのにとても ふわりとしています。ペーパーウェイトも 透明なガラスの中にほわっと浮いている ように四つ葉があって、持ってみてずしっ と重さを感じると少しビックリします。卵の 外形は職人っぽい堅い仕事をし、その中 に一筆書きで書いたように葉を浮かべる のはこれまた堅くなりそうなところを実に柔らかく、さらりと やってのけています。それがきっと数物にありがちな画一的 な量産品にならず、一点一点手びねり陶器のような体温を 感じるのでしょう。心憎いばかりです。縁あって永のお付き 合いになりますが、以前からイイノさんの引く曲線はとても 魅力的でした。決して筆速は早くないものの、連綿のかな 文字を見るような心地良さを感じます。その好ましさがその 侭ガラスの中でも生きて定着しているように見受けました。
久しぶりにお会いして、会場にも拘らず四方山のお話をさせ ていただき、楽しい時間でした。新刊初版本にサインも頂戴 し、新作のピンクのウェイトも買ってきました。本はサイン本 コレクターとして自分の蒐物に、ウェイトは友人の娘さんで 美大を目指している苦学生にプレゼントしようと思います。
展示は巡回し、長丁場になるようです。体をこわさぬように じんわりとがんばって、多くの方に枯れることの無い幸せの 四つ葉を配ってほしいと思います。
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ギャラリー フェブ 公式サイト
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