オークションで、実に興味深い資料を買いました。 『日本の陶器製兵器・陶器製手榴弾』 という本です。 こういった本があること自体驚きですし、実際手に とってみて、かなりきちんと研究編纂されている本で あることに唸りつつ読みました。
陶器製の手榴弾は、戦争末期に鉄材 の不足から発案され、各地の窯業地 で作られていたことは知っていました。 この本によると主だった産地は、信楽、 伊賀、京都、美濃、瀬戸、有田、備前、 であるようです。各地で特色があり、 きちんとその詳細が図版入りで網羅 されています。陶磁器蒐集家として は、兵器であるという点を熟慮しつつも、1つ欲しいもの だと前々から思っていました。まだ実物は入手していま せんが、詳しい資料が手に入ったことは重畳です。物が 物だけに心境は複雑ですが、陶磁器産業の一側面とし て捉え、各地の弾体を集めたいものです。
実は、ちょうど有田製のものが別のオークションに出て いたので入札しました。昨日めでたく落札し、明日には 手元に届きます。いわば負の遺産である兵器の脱け殻 ではありますが、しっかりと手にとって戦争と窯業に ついて、真摯に哲学しようと思います。
表紙画像を拡大 因みに、左上美濃製、左下備前製、右下信楽製です。
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