落札した陶器製手榴弾(有田焼)が手元に届きました。 兵器としては用をなさなくなった物ですが、有田の磁肌 に薄っすら緋色が刺し、焼き物としてみると佳品です。
外側は無釉の焼締めで、型で作られ たらしい丸い形が愛嬌があります。中 を覗くと釉が施してあり、火薬が湿気 らないようにしたものでしょうか。厚み があるのでしょう、ずっしりと持ち重り するのが武器としての必然であるの か少々不気味です。口辺もがちっとし た厚みが付けられています。そのもの をそのまま写真に撮るのはどうかと思い、寒桜を投げ 入れてみました。一輪差しとしては中々良い感じです。
大戦末期、特攻兵器として 『桜花』 という飛行機が開発 されたことは戦後生まれの私も知っています。人間魚雷 『回天』 とともに、悲劇の兵器であったらしいですが、 手榴弾体に桜の花を活けて思わずその 『桜花』 を思い 出しました。戦争時代、人間が一番愚かしい行為の果て にそれも陶器で作ってしまった手投げ弾の脱け殻を眺め つつ、不戦の誓いを新たにするとともに、平和の意義と 人が生きる意味を考え続けたいと思います。
画像を拡大 大きさは野球の硬球ほど
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