陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2011年01月12日(水)      桜 花

落札した陶器製手榴弾(有田焼)が手元に届きました。
兵器としては用をなさなくなった物ですが、有田の磁肌
に薄っすら緋色が刺し、焼き物としてみると佳品です。

 外側は無釉の焼締めで、型で作られ
 たらしい丸い形が愛嬌があります。中
 を覗くと釉が施してあり、火薬が湿気
 らないようにしたものでしょうか。厚み
 があるのでしょう、ずっしりと持ち重り
 するのが武器としての必然であるの
 か少々不気味です。口辺もがちっとし
 た厚みが付けられています。そのもの
をそのまま写真に撮るのはどうかと思い、寒桜を投げ
入れてみました。一輪差しとしては中々良い感じです。

大戦末期、特攻兵器として 『桜花』 という飛行機が開発
されたことは戦後生まれの私も知っています。人間魚雷
『回天』 とともに、悲劇の兵器であったらしいですが、
手榴弾体に桜の花を活けて思わずその 『桜花』 を思い
出しました。戦争時代、人間が一番愚かしい行為の果て
にそれも陶器で作ってしまった手投げ弾の脱け殻を眺め
つつ、不戦の誓いを新たにするとともに、平和の意義と
人が生きる意味を考え続けたいと思います。

画像を拡大 大きさは野球の硬球ほど




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