横浜そごう美術館で開催中の 『川喜多半泥子のすべて』 を観てきました。素晴らしい展示でした。これだけの物が 一同に鑑賞できる展示会は中々無いのではと思います。
銀行家であり、明治から昭和へかけての 財界の重鎮といえる大人物である氏は、 いかにも豪傑というに相応しい作風で 茶道具を自作し、作品は闊達そのもの。 特に陶器は玄人裸足の出来映えで、47 歳から始めたというろくろは豪放でした。 その生きざまといい、侘び数寄ぶりと いい、痛快至極!こんな生き方ができた らなあと自分の小ささを見せられた気がしました。しかし ながら、良く考えてみれば生きた時代も違えば、生まれ 育ちも大幅にかけ離れ、仕事や生活全般に関する哲学 に同調する部分はあっても、どうも次元の違う感受性だ なと感じました。
氏の作品群はお蕎麦に例えると 『十割粗挽きそば』 と いった風情です。野趣があり、香りも強く、歯ごたえもあっ て一度味わったら忘れがたいものです。でも、毎日食べる にはアクが強すぎます。所謂ハレのご馳走でしょう。私が 目指しているのは毎日でも食べたい 『二八の細挽きそば』 的作品です。この違いが小さな違和を感じた所以でしょう。 でも、あの 『禅味』 とでもいうアクには一寸憧れます。
奇しくも私は、氏がろくろを始めた47歳、まだ凝り固まる には早いでしょう。作り手としてもさることながら、人として 半泥子をはじめ多くの先達の作品や生き様から美学を 学び、『味』 を出したいものだと思います。例えるなら 発酵した旨みといったような味がだせたら、本望です。
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そごう美術館
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