作陶家の大先達、辻清明先生がお亡くなりになりました。 肝臓がんだったそうです。81歳という年齢は、現代では早いと 感じますが晩年糖尿を病み、好きなお酒も断ってらっしゃった と聞きますから、大往生といっても叱られないでしょう。
縁あって、清明先生の姪御さんにあたる 方と懇意にさせていただいており、機会 があったら一緒におじの所へ行きましょう とお会いするたびにお申し出をいただきな がら、どうも畏れ多い気がして辞退してい ました。もうお目にかかることは叶わなく なってしまいましたが、ご逝去とあっては いかんともしがたく、ご好意に甘えて一度 多摩の工房へお邪魔させていただけばよかったかなあと、少々 の悔いが残ります。ろくろを覚えたてのころ、丁度NHKの番組 で辻ご夫妻が講師の 『やきものを楽しむ』 があり、清明師の ろくろ挽きをビデオに撮って、何度も何度もすりきれるほど 見たのを思い出します。左利きの清明師がろくろボセを使って ぐいぐいまわす手廻しろくろのその剛柔調和のとれた挽き回し はまさに至芸でありました。
骨董に通じ、茶を物し、書を能くし、侘びを体現した昭和の 陶人は、お若い頃は随分と傾いた奇行も多かったと聞きます が、既存の団体に属さず在野で通したその意気は潔く、我々 個人作家のお手本とすべき人であると思います。
僭越ながら、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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