今日、この夏はじめてアブラゼミの声を聞きました。 空は曇天、陽気も涼しく、およそ初蝉の声を聞くに似つかわしいとは いい難いお天気でしたが、じいじいと鳴く蝉の声に、ハッとしました。
こつこつと古本屋で集めていた杉浦日向子さん の初版本が概ね揃いました。元来が漫画家での デビューであった日向子師は江戸関係の随筆も 多く著しており、私は漫画よりもこちらの本を 専ら集めています。昨年、46歳の生涯を閉じた 日向子師は、著者初の随筆『江戸へようこそ』 から、絶筆になった『隠居の日向ぼっこ』まで江戸指南書ともいえる 15冊ほどのエッセイを残しています。中には『東京イワシ頭』の様な お気楽・能天気・強運アイテム発掘行脚紀行もありますが、その文体 からは現代人のウィットとお江戸のエスプリがのぞき、どこかハスに 構えた、いなしの効いた、通人らしい含蓄が行間に滲みます。
あさっては杉浦日向子師一周忌のご命日。 7月のお盆とも重なって、供養には事欠かぬ日となりそうです。
この夏はひとつ、これらの本の紹介ページでも拵えて、ついぞお会い する機会の無かった『心の師匠』を悼みつつ故人の愛した蕎麦を肴に 一献傾け乍ら、杉浦日向子さんという稀有な通人を偲びましょう。
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