陶 房 日 報  とうぼうにっぽう 
陶房かまなりや

2006年07月20日(木)      初 蝉

今日、この夏はじめてアブラゼミの声を聞きました。
空は曇天、陽気も涼しく、およそ初蝉の声を聞くに似つかわしいとは
いい難いお天気でしたが、じいじいと鳴く蝉の声に、ハッとしました。

 こつこつと古本屋で集めていた杉浦日向子さん
 の初版本が概ね揃いました。元来が漫画家での
 デビューであった日向子師は江戸関係の随筆も
 多く著しており、私は漫画よりもこちらの本を
 専ら集めています。昨年、46歳の生涯を閉じた
 日向子師は、著者初の随筆『江戸へようこそ』
から、絶筆になった『隠居の日向ぼっこ』まで江戸指南書ともいえる
15冊ほどのエッセイを残しています。中には『東京イワシ頭』の様な
お気楽・能天気・強運アイテム発掘行脚紀行もありますが、その文体
からは現代人のウィットとお江戸のエスプリがのぞき、どこかハスに
構えた、いなしの効いた、通人らしい含蓄が行間に滲みます。

あさっては杉浦日向子師一周忌のご命日。
7月のお盆とも重なって、供養には事欠かぬ日となりそうです。

この夏はひとつ、これらの本の紹介ページでも拵えて、ついぞお会い
する機会の無かった『心の師匠』を悼みつつ故人の愛した蕎麦を肴に
一献傾け乍ら、杉浦日向子さんという稀有な通人を偲びましょう。





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