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2006年12月02日(土)
取り残された者にしか見えない光景
放課後の教室が大好きだった。部活動が終わって、着替えに戻った教室には、ぽつんと私の制服とかばんだけが置かれている。そこには誰もいないのに、たしかに数時間前までは何十人もの女の子たちが勉強をしたり笑ったりしていたという気配がほんのりと漂っていて、今この瞬間はただ私ひとりだけがその空間を独占しているのだ、私はこの教室のすべてを知っているのだとでもいったような、奇妙な優越感が芽生えるのだった。
だから、土曜日のオフィス街や、残業が、好きだ。
皆が休んだり、遊んだりしているときに働いているのだ、と思うと、それだけで特別な感じがして、ものすごく重大な秘密を覗きみているような気にさえ、なってくる。
仕事をしていないとき、皆が眠ったり抱き合ったりしている間中、ずっと起きているのは、すべての夢や欲望を見届けているようなつもりになれるから、なのだろう。
取り残された者にしか見えない光景がたしかにあるのだ。
nadja. |
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