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だいたい年末になるとこの界隈は家族連れで溢れ返る。やれふぐだ、やれ数の子だといって、普段の三割増の値段をつけてえらそうにふんぞり返っている魚屋の前をあーでもないこーでもない、おとーさーん、あっちのお店のほうが安かったわよね、だなんてうろうろしやがってまったくうっとうしいったらない。魚のアラを荷台いっぱいに積んだトラックが駆け抜けていくときの匂いも知らないくせに。 ◆ 贈りたくもない贈り物を買うために街へ出たが何を見てもやはり贈る気にはなれなかった。おめでとう、おしあわせに。そんな言葉は心のどこを探しても見つからないのだから仕方がない。それでも近々何かが贈られなければならない。まごころを、君に? 取り繕ったって意味がないのだから綻びたまんまにしておいたってかまわないのかもしれない。うわべだけのつきあい、挨拶だけの関係、そんなものにすがるくらいなら潔く二度と顔も見ないことを選ぼう。君の、君たちの罪、生涯許すまい。私は妥協なんかしない。 ◆ ほとんど激怒に近い精神状態が続く。めそめそ泣いているよりは怒っているほうがマシだろう、多分。 |