indexpastwill
2006年03月29日(水)   黒い羊の幻想(2)

いよいよだね、とヒツジたちが挨拶にやってくる。それでも感傷にひたっている暇はなくて、容赦なく黒い羊は呼びつけられ、9センチヒールのブーツでフロアを走り回る。行く先々で、子羊たちのありえない登録ミスにぶつかり、何回目かで本当に目の前が真っ暗になってずるりと崩れ落ちる。それを見かねたほぼ同期のヒツジが「まあ、帰り、ちょっと、一杯」と黒い羊を誘う。

でもこんなこともあとほんのわずかの辛抱だから。大丈夫、大丈夫、耐えられる。あともう一度太陽が昇り、沈むまでの辛抱。明日の日没後、儀式は厳かに執り行われるのだから。

「アタシほんまにビョウキになりそう」とほぼ同期のヒツジはビールを飲みながら言った。ブース発注だかなんだか知らないが、とにかくその時間に要請しただけの人数が座ってさえいればいい、と考える派遣先。そのヒツジが実際どれだけの処理をしているのか、なんて誰も管理していない。座ってさえいればいいというのならいっそネコでも座らせておいたほうが場が和んでいいだろう。

そんな不満や不平、矛盾、憤りをすべてその身に引き受けて、明日、黒い羊は逝く。


nadja. |mailblog