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毎週毎週、女衒という名の営業担当が新人を引き連れてやってくる。今回の大量採用に関して会社はけっこうシビアで、一週間の詰め込み研修が終わる日曜日には彼ら彼女らが「使えるのか」「使えないのか」、判定を下さなければならない。私がペケです、と報告すれば彼ら彼女らの契約は打ち切られる。 けれどいったいどんな権利のもとに人にペケ印をつけることができるというのだろう? 読書はちっとも進んでいないのだけれど、巨匠の言葉に傍線を引いた。 「ただおれがやりたかったのは、自分の現実生活を樹木と鯨の代理人という役柄に限定することだったんだよ。そして他にはなにひとつ、人間の側に立ったことをしない。」(大江健三郎「洪水はわが魂に及び(上)」/新潮文庫 p.168) 人間の、側に、立ったことを、しない。 明日の夜には手渡した300枚のマニュアルとともに、その人の存在まで情け容赦なくシュレッダーにかけることを余儀なくされている。 人間の、側に、立ったことを、しない。 巨匠は甘ったるいのだろうか? 巨匠は絵空事、美しすぎる絵空事を描いているに過ぎないのだろうか? |