月に舞う桜
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なかなか読み終わらない小説がある。 「本当は面白いはずだ。もう少し読み進めればきっと面白くなるに違いない」と言い聞かせて読んでいるのだけれど、本を閉じるときにふと見ると、しおりの位置があまり変わっていなかったりするのだ。たぶん、私にとっては面白みがないのだろう。 友情というものに対する考え方が、私とは大きく異なるのだろうと思う。登場人物たちが「友達であるが故のすれ違いや葛藤や苛立ち」と捉えているものを、私は「すでに友情とは呼べないもの」と考えている。 ある程度の価値観の違いは世界を広げるけれど、自分にとって譲れないものに関する大きな相違は受け入れるのが難しい。友情というものにまつわるあれこれが、私にとってはとても重要で譲れないものの一つなのだと改めて思い知らされた。 この小説を読み進めることがだんだん苦痛になってきたので、カウンセリング関係の本を開いてみた。カタカナ語が多くてときどきつっかえるのだけれど、それにも拘らず、こちらはどんどんページが進んでいく。やはり、興味があるのとないのとでは、読んで理解するときに発揮される集中力に雲泥の差があるのだ。 期待していた小説が好みとは違っていたことが結構残念で、その反動からか、衝動的にアマゾンで小説を大量注文した。本をしまう場所に困りそうだけれど、もうすぐ夏休みなのでいい機会だったと思う。
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