月に舞う桜

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2006年07月21日(金) It's a beautiful world

仕事のあと、職場の人たちとご飯を食べに行った。男性数人が車を出してくれて、横浜駅周辺まで繰り出す。外は雨上がりの曇り空。車から見上げたランドマークタワーは、天辺がもやで霞んでいた。
私が乗せてもらった車の運転手さんと私の音楽の好みが一致して、カーコンポから流れていたのはMr.Childrenの曲。「何に縛られるでもなく 僕らはどこへでも行ける」(『Worlds end』)と歌っていた。
コース料金に含まれているスパークリングワインは私には思いのほか度数が強く、一口二口飲んだだけで食道がかぁっとなる。他の果実酒は驚くほど薄くてジュースのようだったのに。
お酒を飲むのは好きだ。でも、決して強くはない。強くないことを自覚しているようないないような、中途半端な自分がいる。今日もほろ酔い気分で思考回路が働かなくなり、「ほら、お酒強くないんだから」と自嘲気味に言い聞かせた。
笑って食べて仕事の愚痴を言ってまた笑って飲んだ(もちろん、車を出してくれた人たちはソフトドリンクを)。たぶん、一緒に飲んでいる人たちが同期であるというのがポイントなのだ。たまにはこんな日もなければ、やっていられない。
会がお開きになって、お店の前で皆と別れた私は電車で帰るため駅へと急いだ。ほとんどのお店がシャッターを下ろした地下街を突っ走って突っ切って。
エレベーターに乗るとき、自分のいる階のボタンを疑いもせずに何度も押しては「何でつかないのっ!」と悪態をついた私は、やはり酔っていたんだろう。でも、いつもより酔いが進んでいたから、いつもみたいに寂しくはならなかった。疲れと眠気が勝っていたのだ。
一人でただただ帰り道を急ぐとき、なぜか「やっぱり世界は美しいんだ」と思った。どんなに醜い人間が溢れているとしても、それでもやっぱり。
酔って思考回路がふらふらで疲れて眠くても、どこへでも行ける気がした。カーコンポから流れていた歌の通り、何にも縛られずに、ただただどこまでも、世界の果てへも突っ走って行けるような気がした。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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