G*R menu


ぼくらはただそうやって世界を手にした 0

 顔も覚えていない死神に連れてこられた場所は、流魂街の西の最果てだった。荒涼とした大地。点在する湖に、その周辺にのみ存在する森。大きな河に沿ってのみ辛うじて恵みのある地があり、それに沿って隠れるようにある集落。太陽が最後まで光を与える地であるにもかかわらず、そこは太陽から見放されたように見えた。西が表す季節は秋だろうに、そこは実りも豊穣もない。広く広く続く大地は乾燥し、地面にへばりつくような背丈の低い植物に被われている。そこに人に与えられた食料は少なく、食料を必要とする人間はもとより、失われた「食べる快楽」を求めた人々は少ない食料を巡って争った。食べる快楽がなければ、他の快楽を探して争って奪った。強い者は弱い者から全てを奪い、弱い者は自分より更に弱い者を探して奪う。弱い者の多くは寄り添って団結するが、多くは排他的になり最終的には奪う者になっていく。


 一人で生きていくには辛い場所だった。
 一人で生きていくには力が必要だった。





  G*R menu novel short story consideration
Life is but an empty dream