* たいよう暦*
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高校一年生が終わり、春休みを迎えた頃。 生まれて初めて関西圏を脱出することになりました。 母の高校時代の親友が横浜に住んでおり、そこに五日間妹と泊まりに行くことになったのです。
親戚縁者全て関西に住んでいた私にとって、生まれて初めての標準語圏への旅。 初めての新幹線。 初めての関西弁の聞こえない土地。 初めての二人旅。 見るものすべてどころか、聞くものまでもが珍しくて、初めて触れた異文化に興奮気味でした。
次の日の朝、食卓にのっていたものを見て、ああ、関東にきたんだなあ〜と、実感。 生まれてから一度も我が家で見たことないものがのっていたのです。 「おばちゃん、もしかして、これ、納豆?」 「えー、みたことないの?そうよ、納豆納豆!すーっごいおいしいんだから!食べてごらんよ」
我が家は、父も母もその両親も、関西人。 その時まで、ほんとに「納豆」というものを見たことがなかったのです。 うわ〜。テレビで見た通り、ねばねばと糸ひいてるぅ〜。 へぇ〜、なんじゃこりゃ? 「ほら、一口食べてごらんよ」 おそるおそる、興味本位から口にいれてみた。 ぱくっ。 ・・・・・・。 「どう?」 ・・・・・・。 「おいしいでしょ?」 ・・・・・・。 ごっくん。 「おばちゃん・・・これ・・・豆がくさった味がする・・・」
口いっぱいにひろがる、むわっとした味。 びっくりした。 ほんと、感想は「くさった豆の味がする」としか出なかった。 まあ、納豆は豆を発酵させてるものなんですから、当然なんですが・・・。
「おいしいのにね〜。だめなんだ」 あかん・・・どうしても。 くさった豆の味としか思えないんだもん。 むわっと感がだめなんだなあ。
初めての出会いは、劇的なことはなにもおこらず、「納豆=ダメ」という図式があっという間にできあがりました。 ちなみに、我が家でも、いまだに一度も納豆を見たことがありません。 父も母も妹も私も。 これからもずっと、我が家で納豆を見ることはないでしょう。
体にいいんですってね、納豆。 納豆が好物だって友人も、たくさんいます。 でも、私は苦手。 これから先も、ずっと、好んで食べることはないだろうなあ・・・。
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