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■ 猫のお題:8【アメリナ】
久しぶりにTRYの序盤を見返してみたら、フィリアがリナしか見てなくて素敵だった。
08.上目遣いで鳴いてみる
「ダメですよ。そんな顔したって。」 火竜王の神殿に向かう真っ最中。いつものようにわがままを言うリナをいつものようにフィリアが受け流す。 「いいじゃん。別に行かないって言ってるわけじゃないんだし。ちょっとぐらい寄り道したって。」 この街に入って早々、大きな建物が目についた。聞いてみれば図書館だと言う。それもいかれた魔法学についての蔵書があるそうだ。「外の世界」の人間にしてみればいかれた夢物語でも、魔術の発達した結界の中から来た人間にしてみれば、外の世界の魔法に関する論理と言うのは非常に興味深い。少しくらい立ち寄って眺めてみたいのは、知の奴隷である魔道士にしてみれば当然の欲求だ。 現にゼルガディスは、とっくに図書館に入り浸っている。なんとはなしについていくアメリアとガウリイでさえ咎められなかったのに、自分だけが腕を引かれて怒られているのは納得がいかない。 「こうしている間にも世界の危機は迫ってるかもしれないんですよ。その“ちょっとぐらい”が命取りにだってなり得るんです。」 「だったらゼルはどうなの? 真っ先に単独行動してるし。」 「リナさんがリーダーでしょう? リナさんが言えば、みなさん着いてくるはずです。つまり、リナさんがしっかりしていないから、単独行動する人なんかが出てくるんです」 「……すっごい理不尽。」 「魔族なんかと付き合って歪んでしまったリナさんの性格を元に戻すには、これくらい厳しくないと。」 なるほど。要はゼロスへのあてつけなのだ。 どちらにしても理不尽だけれど。 「……とにかくダメなもんはダメなわけね。」 諦めてうな垂れると、いつからそこに居たのか小さな茶猫と目があった。 「ネコ?」 「あらかわいい」 フィリアは手のひらを返すように声を緩めた。そのやさしい声に、リナがふとあることを思いつく。 「ねぇ、フィリア」 呼びかければ、仔猫に微笑みを向けていたフィリアが顔をあげる。見上げるリナは大きな瞳でじっとフィリアを見つめ、普段は意識して抑えている幼い地声で。 「どうしてもダメ? ……行きたいなぁ」
どんっ。
「…………っ!!!」 「ぅえぇ〜っ?!」 激しい衝撃波を受けたように大きく後ろに仰け反るフィリアに、仕掛けたリナの方が一歩後ずさる。 「ちょ、ちょっとフィリア……? だ、大丈夫?」 仰け反ったかと思えば前のめりに、額を押さえてなにやら悶えている。ドン引きするリナが恐る恐る声をかけると、かすれた声で。 「ゆ、」 「ゆ?」 「……夕方までには戻ってきてください……。」 「えっいいの?! やったー! ありがとう! フィリア大好き!」 一転、ぱっと顔を輝かせたリナは言うだけ言って駆け出していく。残されたフィリアの足元で首を傾げていた仔猫も、ふと身の危険を感じ慌てて逃げ出した。 「――ゼロス! 出てきなさい!」 怒声に応えて中空から突然気配が降りてくる。 「なんですかフィリアさん。そうそう気安く呼び出すの、やめてくれませんかねぇ。」 「……あなたの……あなたのせいで……リナさんが悪魔に魂を売るような真似をするようになったのよ!」 「……はぁ?」 「上目遣いでっ! 甘えた声でっ! お願いごとなんてっ!! 断れるわけないじゃないですかっ!!」 「……なんだかまったく分かりませんが、悪魔に魂を売ってるのはむしろフィリアさんの方なんじゃ……」 「あーっ! 録画しておけばよかった!!」 「…………。」
なんかフィリアはリナを溺愛してるイメージがある。
2006年02月26日(日)
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