もういいかい?【ガウリナ】

すっごいゆっるい逃げリナ追いガウ。
ガウアメサイド。

written by みなみ




 「さっさと“保護者”卒業しちゃわないと、リナはそのまま甘えますよ?」
ガウリイさんが思ってるよりは強いと思います。とか、リナを判断基準にしないでください。とか、挑発的なことばかり言うものだから、ついつい未成年相手に本気を出して飲み比べ。相手にしてみて分かったが、なるほど彼女は中々イケる。
姉さんはもっとすごいですよなんて遺伝子的優勢を見せつけられて、先に白旗を揚げたのはガウリイだった。
「うーん、今はそれでもいい気もするんだが…。いや、よくないかな?」
それからはもうぐだぐだと、宿屋の一階でくだをまいて早深夜。他の客はもういない。店主もあとはご自由にと言って引っ込んでしまった。実に呑気な田舎町だ。
「よくないですってば。長引けば長引くほど、状況って言うのは変えにくくなるもんです。政治と一緒ですよ」
「でもなぁ、相手はリナだからなぁ。」
「またそうやって誤魔化す。ガウリイさんがそんなだと、リナのせいばかりとも言えませんね。」
「まぁ、のんびりやるさ」
カンとコップをぶつけ、もぅ、と頬を膨らませたアメリアをなだめるように笑った。

夜もどんどん更けて、さすがに目をこすりはじめたアメリアと並んで部屋に戻る。
それぞれの部屋の前でおやすみと交わしたあと、扉に消える直前、いたずらっぽい笑顔でアメリアがガウリイを見た。
「せいぜい“のんびり頑張って”みてください。よっぱらいさん。」
確かに、見たところ足元も口調もおぼつかないところはないようだが、自分だって散々飲んだあとでよく言うと、ガウリイは苦笑いしつつ部屋に入る。
暗がりのなか、手探りでベッドに潜り込んだ。

 翌朝、明るい日差しを体いっぱいに浴びて、毛先からきらきら光る少女を前に、ガウリイは思わず目を細める。
はめられたなぁと思いながら、同時にきれいだなぁ、なんて、ただただ単純にそう思う。
「……あれ、アメリアは?」
まだ寝ぼけたままのリナはきょろきょろと同室者を探していた。きっと隣の部屋で罪もないゼルガディスがすやすや眠るアメリアに困り果ててるだろうとは、言えるわけもない。
「なぁ、リナ」
やさしく頼りない笑顔で微笑みかけられて、思わずリナも同じ笑顔を浮かべた。
「ん? どうしたの、ガウリイ」


――もういいかい?


2006年01月30日(月)
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