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■ Happy DEAD【アメリナ】
リナがセイルーンの宮廷魔道士パラレル。 いちゃいちゃアメリナを書きたかった!リナが乙女!自分で書いてて新境地!ていうか自分で書いてて恥ずかしいよ!
written by みなみ
「アメリアさぁ」 窓の外に目をやったまま、リナがぽつりと呟いた。 外は明るい陽が溢れていて、この部屋まで光でいっぱいに満たしてくれる。 こんな日にリナが部屋の中に居るのは珍しい。 退屈だろうと思いながらも、勝手にやってきて何をするでもなく窓辺にもたれるままを放って置いた。 「ん?」 私は目を通している最中の書類から顔をあげず、視線の端だけでリナの横顔を見た。 リナは相変らず窓の外を眺めたまま。 「髪、伸びたわよね」 「……は?」 「だから、髪。伸びたじゃない。旅してた頃は肩までしかなかったのに」 言って窓枠に手をかけたままずるずるとしゃがみこんだ。 「え、ちょっと、リナどうしたの?」 びっくりして立ち上がり、リナのそばに駆け寄る。隣にしゃがみこむと、壁に額をくっつけうなだれたリナは、なにやら小さく呟いていた。 「なに、リナ? 聞こえないわ、具合でも悪いの?」 おろおろ尋ねると、リナは少しだけ顔をあげ、前髪の隙間からわたしを見た。覗く頬が赤い。やっぱり熱があるんだ。だから今日はわたしの事務仕事なんかに付き合って大人しく部屋にいたのね。 「リナ、部屋まで送っていくから、ベッドで休んだ方がいいわ」 「……き、した」 「え?」 「どきどき、した」 がんと打ち付けるように壁に額を当てて、耳まで真っ赤になったリナが消え入りそうな声でそう言った。確かに言った。 理解できなくて完全に硬直してしまったわたしの後ろで、風に煽られた書類の束が舞っていく。ばさばさと、鳥の羽音にも似た音が響いた。 「アメリアのばか。ドレスなんか着て、髪なんか伸ばして、」 「ご、ごめん」 困惑しきった私は反射で謝ってしまったけど、別に謝らなきゃいけないことはしてない気がする。少なくともリナが今言ったことは、そういうんじゃないと思うけど……。 「あたし……もっとあんたが好きになっちゃう」 どうしたいんだろう、この人は。 わたしを幸せで殺したいのだろうか。 そんな死因……ヤだなぁ。 小さくふきだしたわたしに気を悪くしたのか、リナは顔をあげ、鋭い眼差しで睨みつける。ただ残念なことに、なみいる盗賊をその一瞥で射殺せるリナの視線はわたしには効かない。まして赤い顔で、わたしを好きだと言うその唇じゃ、とても無理な話ね。 「じゃあ、髪切ろうかしら」 またこの珍しい顔を隠されたらもったいないので、両頬を挟んで力ない目を覗きこむ。 リナは手のひらのあいだで困ったようにぼそぼそと呟いた。 「……だめ」 「どうして?」 意地悪く笑うわたしにリナは言葉を詰まらせながら、苛々と投げやりに言った。 「似合ってるから!」
幸せ死、ありかもしれないわ。
「ちょ、ちょっとアメリア」 「リナが悪いんだから、これくらい許して」 ぎゅうと力いっぱい抱きしめて、首筋と言わず頬と言わず、手当たり次第にキスをした。 リナは苦しそうにくすぐったそうに身をよじる。 それでもわたしは離さない。1ミリの隙間も惜しむように体を押し付けて、どきどき高鳴る心臓を触れ合わせた。
夜がくる前には、わたしはときめきで死にそうだ。
2006年01月27日(金)
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