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■ 運命の29日間【1】
まもうさ←内部。
written by みなみ
次に月が満ちるまでに もう一度恋に落ちるだろうか。
「レイちゃん、それ、何?」 縁側に座って淡い水色の液体が入った小瓶を眺めていたレイは、その声で初めて、美奈子がすぐ側に立っていた事に気付いた。 好奇心に駆られ、居ても立ってもいられなくなって声をかけたと言うような顔の美奈子が、態度で答えを急かす。レイは小瓶を陽の光に透かしながらふっと笑った。 「早かったじゃない。うさぎ達は?」 「うさぎちゃんは居残り、亜美ちゃんとまこちゃんは部活に顔出してから来るって。で、それ何?」 「珍しいわね。うさぎが居残りなのに美奈子ちゃんは免れてるなんて」 「ツイてたのよ。ボーダーまたいでの一点差。で、それ何?」 「それはあとで煩そうね。そういえば美奈子ちゃんは部活出なくて良いの?」 「男バスも女バスも試合前だから体育館が空かないのよ。つかレイちゃん、わざとでしょ?」 「バレた?」 「あからさま。なんか言えないようなものなの?」 美奈子が改めて小瓶に目をやる。午後の陽射しを受けて小瓶が白く縁取られていた。 「まあ、別にそういうわけじゃないんだけど」 レイが難しげに眉を顰める。 「29日間、恋人の事を忘れるんだって」 「は?」 「そういう薬らしいわ。時々、御札とか色々といかがわしいものを売りつけにくるやつがいるんだけど……」 「ちょっと待って。……神社に?」 「そう神社に。中々剛の者よね。」 レイが肩を竦めるのを見て、美奈子も呆れた顔を作る。 「あ……そう。で、その人が?」 「そうそいつが、これ置いてったのよ。試作品だからモニターになってくれって。ご丁寧に説明書まで付けて」 ポケットから取り出した紙を、美奈子に手渡す。受け取った美奈子はそれを見て黙り込んだ。 「……どう思う?」 シンとなった美奈子を見据え、レイが声をひそめて問い掛ける。 しばらくの間の後、美奈子がにやりと唇の端をもちあげた。 「試してみようよ、それ」
2003年02月11日(火)
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