猫飼い別エンディング【ロビナミ】

猫飼いご愛読ありがとうございます^^
あれだけ長いこと放置されてたのに、ちゃんと続きまで読んでいただけて嬉しい限りです。

猫になりたい、はどちらかと言うとシチュエーションシリーズみたいな感じで始めたので最終話への展望は私にすら無いと言う。にこ!^^続き、どうなるんでしょうね!

そんな感じで別EDver(そのまま一緒に旅を続けちゃうバージョン)のその後でロビナミ小ネタ。原作と同じ年齢になってます。

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 カフェから出てくると、陽は高く昇り隣の少女が眩しげに目を細めている。手足もすらりと伸びて、どこかに幼さを残している分艶やかにきらめく横顔。
強い日に揺れる幻のように、懐かしさのようなものが胸を突いた。
「私も歳をとるはずね」
「ちょっとやめてよ、ロビン。なにそれ。」
突然落ちてきた言葉に、ナミは可笑しがる。
「娘の成長を見守る母親の気分?」
「だからやめてって、それは笑えない。恋人がいいんだもん。」
言葉通り深刻ぶって、ナミはロビンの顔を正面から見た。ぱたぱたと、気まぐれに表情を変える。自分の信念に従っていると言う本人には心外らしいが、相も変わらず次の行動を予測できないロビンには、それはいつだって気まぐれな猫の表情。まるで風まかせ。
「恋人ね、こいびと。」
「またごまかす! ひどいよねー、ロビンは。夜はあんなことするくせに、」
ややこしいことを口走りだしたナミの口をぱっと手で塞いで、苦笑い。
「そういうことをこんな公道で口にしないの」
その手を剥がしてナミはまだ腑に落ちない顔。
「でも今のはロビンが悪い」
「そうね」
すっかり大人になったのだというふうに、むきにもならずロビンが折れる。大人と子供を線引くようなその対応に、もっと怒るかと思ったナミは意外にも静かに真面目な顔をした。
「ナミ?」
「子供でいいよ、猫でもいい。でも、恋人でしょ?」


いつかは手放さなければと思って、9年。
何もない自分と違って、なんだって手に入れられるに違いないナミを、かわいそうだと思いながらもこの腕に閉じ込めてきた9年。
首輪ひとつかけられない自分の覚悟の甘さに、何も言わず寄り添ってくれた9年。
いつだって真剣な言葉をくれた、想ってくれた。
9年前の、まだ少女だったのだと今になって思うあの頃の自分と、変わらない弱い自分が、返せなかったもの。

たったひとこと、ためらいながら口ずさむ、歌のようにごまかして。

「ええ、恋人よ。あいしてる。」

「んん、なんか軽い! でも嬉しいから許す!」

ぱっと機嫌を直して、腕に絡む。
肩寄せて、仲睦まじい姉妹にも見えやしないだろう、似つかない笑顔を並べ歩いていく。
目指すは海賊船。
乗り込んでいく、また海の旅。

2000年02月23日(水)
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