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■ “鉄仮面のデュバル”【麦わら一味】
「人に歴史あり、ね」 ブルックの言葉を反芻して、もう一度ナミを見た。 知りたい。彼女を彩るすべての歴史を。
いつかは、きっと。
「いいのかよ?」 「仕方無いじゃない」 「かわいげのねぇ女だな」 「言ってもしょうがないことでわめくのが可愛いの? 女の趣味が悪いわね、あんた」 「そういうとこがかわいくねぇって言ってんだよ」 ちっと舌打ちしながらも、ゾロは小気味良さそうに笑った。 珍しくも気遣ったつもりが、ナミは意外にも平然としていて、そして毅然としていた。 「約束は守る、それだけよ」 8年間、結局は果たさせるつもりのない約束を強いた男の仲間を、助けると笑って言った。 それに敬意を示さずには居られない。 「約束、か。てめぇのそういうところは尊敬してるよ。ビビんときも、“約束”だって言って、医者もいらねぇって無茶言ってたもんな」 くっと喉元で笑う男を、改めて物珍しげに見遣る。 「あんたも、約束くらいは守れる男になりなさいよね。未来の大剣豪さん。この前貸した3万ベリーはどうしたの?」 そう言ってやればいつもの顔で「あん?」と凄んで返す。そうそう、そういう顔しててよ。見慣れないものは変な気分にさせる。 「それに、別にタダで助けるとは言ってないわ。ケイミーにはたこ焼き、ハチには1億ベリー、きっちり請求するつもりだから」 「……やっぱり根に持ってんじゃねぇか」 果たされずに終わった約束も軽口の種。 「おまえはすげぇよ」 ゾロの小さな賞賛の言葉は、ルフィのあげた声に遮られた。
「野郎共!!!戦闘だぁ〜〜!!!」
海を震わせるときの声。 過去に泣いてる暇はない。
目の前の水平線から、目を逸らさないのが海賊。
2000年01月24日(月)
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