その発言は、夕食時、あるニュースでやっていた「『生活保護』を受けている人の収入が、働いているが、低賃金な『低所得労働者』を上回っている」という問題を受けて母と話をしていた時のことだった。 それなら、働いているところを辞めて生活保護を受けた方がいい生活ができるのではないか、と僕が言ったことに対し、生活保護のお金はたしかに月15万円超なのだが、「自分の財産を持ってはいけない」「働いていてはいけない」など、いろいろ制限がつく、と母は反論した。 それから低賃金労働者の話になって、
「でも何もしない人だけじゃなくて、働いても働いても楽にならないワーキングプアも助けてあげればいいのにね。あの“ドッグカフェ難民”の子たちとか」
ドッグカフェ難民?
ネットカフェ難民(インターネットカフェ業界がクレームをつけてから、あまり耳にしなくなったが)の間違いだろう、と突っ込みを兼ねて聞き返すと、それで初めて気がついた母は爆笑した。
つい、想像してしまう。 社会に疲れたサラリーマンが難民となって押し寄せるドッグカフェ。そこで、犬たちに乾いた心をいやしてもらうのである。 あっちこっちで疲れたサラリーマンが思うさま犬に抱きつき、あるいは頬ずりしている様はさぞ異様にちがいない。 (本来は犬を連れてくる客を狙った喫茶店のことを指すが、この想像内では犬が接客を行うカフェとなっている)
そんなアニマルセラピーを主としたドッグカフェ。僕にはエリーがいるが、今の社会には必要なのではないだろうか。
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