読書記録

2022年01月06日(木) 骨の記憶 / 楡 周平

 没落した東北の旧家の嫁(曽我清枝)のもとに届いた宅配便は、51年前に失踪した父の頭蓋骨だった。差出人は、集団就職で町を出て、その翌年に死んだはずの同級生。
長沢一郎。

集団就職で中野の中華料理店で働いていた一郎は、下宿の家事で焼け出された松木幸助になり替わった人生を生きた。
運送業を始めて時代の波に乗った一郎だが、最初の妻は出産で我が子もろとも死んでしまう。
金に物言わせて清枝に似た旧子爵の娘・冬子と結婚したが、一郎を嫌ったため密かに堕胎をしていた。

自分を欺いていた冬子に財産を相続させないため、曽我家の今は何ほどの価値もない山林を買い占めていく。
骨董品も買いあさって財団も設立した。
皮膚がんを宣告されて死期を悟った一郎の人生の整理が進む。

とにかく家庭的に恵まれない人生。


面白かった。






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