70代の息子と90代の父親。老いた息子は父の記した奇妙な報告書を見つけた。それは戦前、思想検事だった父親が、「思想犯の保護を巡って」自己の所信を開陳した報告書だった。父は何者だったのか?息子は父の過去にあえて向き合い、己の来し方の輪郭を確かめようとしはじめる……。私的には 思想検事=特高ということで怖い、恐ろしいイメージしかないのだが結局のところ詳しい記述はなかった。何気に静かな物語。