2020年08月27日(木) |
ゆりかごに聞く / まさき としか |
柳宝子・文化部記者は虐待を疑われて離婚した夫に愛娘を奪われていた。 そんなある日、21年前に火事で死んだはずの父親が変死体で発見され、そこには世間を賑わす猟奇的事件の記事と娘に宛てた手紙が残されていた。
「いつも見ていた」。
父はなぜ一度死んだのか?猟奇事件との関係は? 宝子は父の軌跡を調べるが、父の秘密はやがて家族、宝子自身の出生へとつながっていく。 母も十年前に亡くなっていて真相は分からない。 一方、刑事の黄川田は娘をどうしても愛せず嫌悪感を抱いていた。 そして猟奇事件を追うなか、元恋人の宝子と事件の繋がりを疑い始め、宝子に接触してくる。
私はこの子を愛せるのだろうか。 ゆりかごを前に自問自答する親たちの不安、そして罪を――誰が責めることができるのか。
誰もが母親になれるわけじゃない、母性なんて湧き出るものではない。子供は愛しいに決まっている――だけど。
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