読書記録

2020年04月06日(月) 羞恥 / チョン・スチャン


 脱北者の三人には、亡命の過程で家族を失うという共通点があった。

ウォンギルはモンゴル砂漠で力尽きた妻を見捨てて娘のカンジュを背負って逃げてきた。

トンベクは国境を超える直前に家族全員が目の前で公安警察に捕まるが、自分だけ助かった。

ヨンナムは別ルートで脱出した家族が中国で行方不明となり、人身売買のグループの手に渡ったらしいとの情報を得る。


トンベクが自死し、ヨンナムが越した街は、オリンピックの選手村建設予定地で、朝鮮戦争にさかのぼる大量の人骨が出土した。

主人公はウォンギルで、地味な失意の日々を送っている。
そこでクローズアップされるのは、家族を捨てざるを得なかったこと、あるいは生き延びたことへの罪の意識と羞恥だ。





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