2020年02月08日(土) |
人間の往生 / 大井 玄 |
終末期医療に取り組み続ける医師が、在宅看取りの実際と脳科学の知見、哲学的考察を通して、人間として迎えるべき往生の意義を語る。
宗教というものから遠いところにいる現代の日本人にとって、死に臨んでの宗教的解釈はあまり意味がないと思うし、詩や歌の引用もしらけるというか、私としてはいかにうまく往生できるか、それしかない。
いまは認知症が大きな問題で、著者の言う「意味の世界」を超えた症状は、人間の尊厳を失っている現実をもっと取り上げてほしかった。
結局、人生の週末・死にいたる段階は、実態を知らないことが、恐怖心を煽るもっとも大きな原因であるようです。 そうなのだ・・・どんな苦しみ・痛みが待っているのか、何処へ行くのか、それにつきるように思う。
昔のように家で家族に看取られて自然に往生できたらいいが、それもしばらく日にちがかかる。 その間の世話は誰がするのか? 家族との関係が良好だとしても、私の場合それもストレスになる。
著者は触れていないが、尊厳死や安楽死を語ってほしかった。
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