読書記録

2006年05月25日(木) 火怨            高橋 克彦

先に読んだ『風の陣』の続編のような感じか。
同じ阿弖流為を書いた澤田ふじ子の『陸奥甲冑記』も読んだが、阿弖流為と田村麻呂の描写が微妙に違う。
高橋氏は蝦夷の恭順は阿弖流為の策としているのに対して、澤田氏は田村麻呂の人徳だと表現している。
最もどちらにも言えることは阿弖流為は田村麻呂ゆえに恭順するわけで、田村麻呂も阿弖流為が相手なら融和策しかないと思ったわけだ。
誰でも平和に暮らしているところへ他者の侵入があれば戦うのは当たり前のことだが、大和朝廷に対して堂々の戦いを挑んだ古代東北の英雄、阿弖流為ゆえに清々しささえ感じる。

『火怨』は 男性作家の作だからなのか戦闘場面がとても細かくてリアルで動画を見ているような感じさえした
文中の細かい策は高橋氏の創造力の賜物なのだろうか、それとも東北出身の作者ゆえの取材による言い伝えのようなものがあったのだろうか
阿弖流為も田村麻呂ゆえに帰順したのだろうけれど、これも時代のめぐり合わせとしかいいようがない
相手が田村麻呂でなければ歴史も変わっていただろうに・・・










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