コミュニケーション。
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2007年12月12日(水) あなたはあたしを守っていてね







今朝、いつものように出勤すると、
見慣れた卓上カレンダーに、
可愛いミニレターが挟まっていた。





『笹川マリアさんへ  西沢ミカより』












…(((゚ロ゚;)))






お察しの通り、
かねてよりあたしのネガティブワードであった、
もう1人の事務員さん」である。




いいい一体、何が書かれてるんだ(((゚ロ゚;)))
咄嗟に思ったのはそういうことだった。
あたしはこないだも仕事中にうとうとしたばかりだったし、
あたしの手に余った仕事は彼女に回ってる(だろう)し、
この仕事はあぁしたほうがいいとかこの処理は困ってるとか、
向いてないとか、そういうことかと思った。


でも、ディズニーベイビーズのミニレターは本当に可愛くて、
そんなことにわざわざ使われたわけじゃないような気がした。
大体、あたし達の間には社長がいらっしゃるのだから、
直訴したほうが早いというものだ。
そういえば社長はご存知なのだろうか。
彼女があたしにメッセージを残したことを。



彼女は言っただろうか。
「笹川さんに手紙を書いたから、言ってね」
と。
もしそうなら、内容は社長も知っているということだ。
(絶対に「何書いたんだ?」と聞く人なので)
社長も納得済みの、内容。
あぁこれで、本当にダメ出しだったらどうしよう。



「ひく」と易しく書かれていたが、糊付けされていて、
ちょっと躊躇っているところに社長がご出勤。
社長はいつも通りの様子で、彼女の手紙については一言もなかった。
忘れているのか、知らないのか、と思ったけど、
とにかく手紙はあたし宛てなのだから、聞く必要はないと思った。



糊付けされた部分を、丁寧に剥がした。
折りたたまれた紙には、ミニーが居た。
可愛いなぁ、と思った次の瞬間には、
いよいよだ、と思ってしまった。










「 笹川マリアさん





初めまして。西沢ミカです。


デスク等を共有して長いのに、


ずっと挨拶もしていなくてスミマセン。


笹川さんに差し支えなかったら、連絡先を交換しませんか?


xxxx@xxxxx.jp


西沢ミカ」















…(ノ_・、*)



この展開を待っていた。
先輩であるミカさんとのつながりがやっと持てる。
あたしはこの会社のことを何も知らない。
社長にズバズバ聞ける性格でもない(最近改善傾向だけど)
本当はずっと前から、ミカさんと連絡がとりたいと言いたかった。
情報を共有すれば、もっと仕事がうまくいく。
二度手間がはぶけるし、
社長に聞けないことも聞ける。
言えなかったのは、あたしが入った当初、
ミカさんが怒っていたから、だった。



事情で徹夜して、
最悪だったあたしのテンションは一気にあがった。
もうミカさん怒ってないんだ。
あたしと、この会社を支えてゆく道をとろうとしてくれてるんだ。
あたしは、もっと社長のお手伝いが出来るんだ。
ミカさんと一緒に、それが理想だった。




携帯のメールアドレスが書かれていたので、
もう直接送っていいのだろうと思った。
けれど、お子さんがいらっしゃるので、
忙しい時間帯はなぁ、とかなんとか思ってるうちに、
自分の仕事が忙しくなり、あっという間に終業で、
優ちゃんに、イブの夜の予約をさせられたりして(何であたしが!)
すっかり忘れていた。



あぁ…もう夕方だから送っても良いかな。
優ちゃんに言うべきか言わないべきか、ちょっと迷った。
ミカさんをよく知ってるのは優ちゃんだし、
あたしは週1しか入れてない、とかの優ちゃんの嘘があるから、
なんか言ったらまずいことあります?と聞かなきゃ、と思いついた。




「ミカさんがアドレス教えてくれたんだけど、

もう直接送ってもいいかなぁ?」




「ミカって誰だよ?」



普段は“ミカまる”とか呼んであたしを密かに妬かせているくせに、
何故か、あたしが彼女を話題にすると聞き返す。




「いや西沢さんですよ」



「え?何でそんな話に?」




あたしはミニレターを説明した。
優ちゃんはあたしの席まで来て、文面を読んで、
真顔で、



「メールはするな」



と言った。






















…Σ(´Д`;)



そんな。
せっかくミカさんからのアプローチなんに。
事務員同士のコミュニケーションだもん、むしろあるべきでしょ?




「えー?何で?何で?聞きたいこといっぱいある!」



「お前が聞かれるぞ!社長と付き合ってるの?って!」



「何でミカさんがそんなの気にするの?!おかしいっ!」



「お前が入ったときから、疑ってたんだ。あいつは」



新しい子を入れたから、と言ったとき、
彼女は真っ先に、「付き合ってるの?」と聞いたらしい。
それは前にも聞いたことがあった、けれど。
仕事のプライドだと、思ってた。

優ちゃんは、
彼女が俺をどう思ってるか知らない、と言うが、
まぁ半分かそれ以上わかっているというところで間違いないだろう。





「前は、仕事のついでにたまに飯を食ったりしてた。

でもお前が来てからは一切なくなったし、

それ以外の態度も、冷たくなった、と思ってると思う。

年末の大掃除にも、あいつは去年来たから、今年もだね、って言うから、

いや、今年はいい、ってはっきり言ったし」



俺とあいつには誓って何もないけど、
旦那ともうまくいってない。
喧嘩ばっかして、子どもも旦那に懐いてないらしい。


気になってしょうがないんだ、
お前が俺と付き合ってるのか、
お前が週に何回、ここに来てるのか。


俺に見えないように卓上カレンダーに挟んでたのがいい証拠だ。
探りの手紙なんだ。
メールから情報を得るつもりだったんだ。
そうしてあわよくば関係をぶち壊そうとしてたんだ。





あたしは、笑うしかなかった。
あたしが昼ドラに片足つっこんでたって?
この人そう言うの?




人のいいあたしが、
自分を信じずにメールを送ることを懸念して、
手紙は優ちゃんが持っていった。
万が一これで壊れたら嫌だから。お前は悪くないのに。
あたしを信じてるんだか信じてないんだかわからないことを言う。
第三者が介入して壊れたことがあるのかもしれない。
いろんな恋の壊れ方をこの人は知っている。
だから、何かにつけ、傷つかないように、
「離れるな」「若い方がいいんだろう」「おじさんだと思ってるんだろう」
そんなことを言うのだろう。




「よく俺に言ったな。
送っていたら、どうなるかわからなかった。
絶対にお前は嫌な思いをしてた」



「…優ちゃんだけを、信じればいいのね」



そうだ、と優ちゃんは後ろを向いたまま言った。
この恋を、あなたも壊したくないのだと。
言葉どおりに、信じようかと、思います。







すっかり日の落ちるのが早い、この頃。
レースのカーテンでは、明るい室内が外から見えてしまう。
あたしの頭が読める優ちゃんは、
あたしが考えた通り、帰る直前、
電気を消した瞬間の室内で、キスをしてくれた。
不思議。本当に不思議。
ここまであたしの望みをぴたりと叶える人から、
女の中では一番に愛されている。



あぁ幸せだ。
最高の優越感があたしを包んでいる。
そんな醜い感情を認める分、ミカさんの悪口を言う気分にはなれなかった。
同じ人を好きなのだ…。
しょうがない、あんな良い男(どーん)



結局、ミカさんにはメールは送らず、シカトになるわけだから、
付き合っていることは容易にわかってしまうだろう。
それはいいのか、と聞くと、いいらしい。
これであたしが出勤の日に来たりしたら怖いな…
と優ちゃんと笑ったけど、いや笑えない。
こええええええ何言われるんだよっ




そんな、昼ドラチックな本日だった。
寺島氏にフラれたくらいで死ななくてよかったな、過去のあたし、
って思いました。
こんなに面白い一日が待ってたのだ。
あたしを愛する男が待ってたのだ。
生きてて良かった。





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完全にエスコートされるもんだと…思ってました(小娘☆)
ちなみにお目当てのレストランはお休みだったので、
今度ひとりでかけないといけません(苦笑)
空いてるのか?そもそも…
いや、空いてますように…




雪絵 |MAILHOMEBLOG

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