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2007年07月10日(火) 日記を書くときの心構え

檀ふみさんのエッセイで、原稿を書くときの心構えについての話を読んだ。
亡き父から------というのは作家の檀一雄氏であるが------ひとつだけ言われたのが、「書くのなら、一生懸命書きなさい」ということ。しかしながら、具体的にどう書けば「一生懸命」ということになるのかがさっぱりわからない。しょうがないので、「字を丁寧に書く」「注文の文字数ぴったりの原稿を仕上げる」の二点を守ることをもって自分の「一生懸命」とすることにしている、という内容だ。

なるほど、「一生懸命勉強する」や「一生懸命走る」なら言わんとすることはもちろんわかるが、「書く」とセットになっているとたしかにあまりピンとこない。
けれども、それを「真剣に」という言葉に置き換えてもいいのであれば、私は深く頷くことができる。日記を書くときになによりも大事にしていることが、この「真剣に書く」なのだ。

一口に日記書きが趣味と言っても、求めるところは人それぞれ。ふだんの生活では出会えないような人たちと知り合えるとかアクセスを伸ばすのがゲームのように楽しいといったことを挙げる人もいるだろう。
私の理由はもっと地味で、ただただ「文章がうまくなりたいから」。
うまくなってどうするの、って?べつにどうもしない。でも、自分の頭の中にあるものを文字で完全に再現することができたとき、すごい爽快感、達成感がある。読み返して「うん、われながらよく書けている」と思えることはひと月にいっぺんもないけれど、それを味わいたくてコツコツ……と音が聞こえてきそうなほど地道に書きつづけてきた。
だから、うちは週二回更新が基本だが書きたいことがなければ更新しないし、どんなバカげた話題でもそれを取り上げるからにはまじめに考え、まじめに書く。でなければ納得のいくものが生まれるはずがないし、またそれが読み手に対する誠意というか礼儀のような気もしている。

* * * * *

ダイエットでもなんでもそうだが、成功のコツは成果を目に見える形にすることだと思う。
目標体重に向かって右肩下がりになっていく折れ線グラフを見る楽しみがあるから、ケーキも我慢できる。同様に、日記書きをよりやりがいを持ってつづけるために、私は過去に更新した全テキストをExcelで一覧表にしている。
日付の隣にその日更新したテキストの題名を記入してあるのだが、とくにうまく書けたものはピンクで、だめなものはブルーで網掛けし、ひと目でわかるようにしている。それを月の終わりに眺め、「今月はがんばったナ」とか「ぜんぜんだめじゃないか」とか思ったりするのだ。
日記書きを趣味にするくらいだから私は「振り返る」という作業が大好きなのだが、これは「昨日より今日、今日より明日、いいものを書きたい。精進しよう」という気持ちにさせるいい材料になっている。

それからその一覧にはもうひとつ、私のモチベーションを保たせてくれる項目がある。
私は毎回テキストの最後に空メールボタンを置いている。ときどき「メールフォームが出てくるのだと思って押してみたけどそうではないし、あれはなんなのでしょう?」と訊かれるのだけれど、すみません、これは読み手の方にとっては押してもなんの得もないボタンです。
その日書いたこと、つまり自分の思いや考えがどのくらい普遍性のあるものなのかを知りたくて、「読んでなにか心に残るものがあったときにだけ押してね」とお願いしているのだ。
実際はどういう場合に押してくれているかはわからないし、読めばとりあえず毎回押すという人もいるだろうと思うけれど、テキストによって百くらい軽く差が出るところをみるとある程度は参考にできそうだ。その数の多い少ないが示すのはそのテキストの“ウケ”であり、出来不出来ではないが、とても興味深い。

そんなふうにして、このサイトも七年目。
書くための筋力はほうっておくとみるみるうちに衰える。忙しい毎日だけれど、なんとか時間をやりくりして少しでも長くつづけられたらなと思っている。

【あとがき】
どんなことでもまじめに(一生懸命)やっていたら結果は必ずついてくるよね。「日記書き」であれば、友人ができたり、たくさんの人に読んでもらえるようになったり……っていううれしい副産物がある。がんばるだけ報われると思ってます。