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2007年04月09日(月) ところ変われば

前回のテキストで、冷麺とメロンパンについて大きな勘違いをしていたという話を書いたら、いろいろ情報をいただいた。
その中に、Nikkei Net内の「食べ物新日本奇行」というページを教えてくださった方があった。日経新聞社が読者アンケートによってさまざまな食べ物についての謎を解明しているコーナーで、それを見たら、私がいままで「冷麺と冷やし中華は同じもの」「メロンパンとサンライズは似ても似つかぬ別のパン」と信じて疑わなかった理由がたちまち明らかになった。

まず「冷麺」についてであるが、私は前回、
「冷麺と冷やし中華が別物であるとは夢にも思わず、ラーメン屋で冷やし中華を頼むときも『冷麺ください』と言ってきた。が、注文を聞き返されることもなく、いつもちゃんと冷やし中華が出てきた(ので、今日まで勘違いに気づかなかった)」
と書いた。これについて私は、ラーメン屋には冷麺(韓国式冷麺)は置いていないため、店の人が「ああ、このお客は冷たい麺のことを言っているんだな」と機転を利かせてくれ、毎回無事に冷やし中華が運ばれてきていたのだろうと解釈した。
しかし、そうではなかったのである。
上記ページに、「西日本の多くの地域では、冷やし中華のことを『冷麺』と呼んでいる」と書かれていたのだ(第9回「いわゆる冷やし中華」)。
ハムに錦糸玉子、細切りきゅうりがのっかったあの料理は近畿・四国地方では「冷麺」、北海道では「冷やしラーメン」、それ以外の地域では「冷やし中華」という名称で呼ばれているという内容である。そうだったのか!だから実家の両親も冷麺、冷麺と言っていたのだ。
もうひとつ思い出した。京都の大学に通っていた頃、学食のメニューに「唐揚げ冷麺」があったことを。麺の上にレタスにトマトといった生野菜と唐揚げが二、三個載ったもので、夏はしょっちゅう食べていたから覚えているが、あれは「唐揚げ冷やし中華」ではなかった。
ラーメン屋で「冷麺」と注文してちゃんと冷やし中華が運ばれてきていたのは、関西では当たり前のことだったのだ。

次に「メロンパン」。
前回の日記に、「小町さんの言うメロンパン(ラグビーボール型白あん入り)は見たことがない」というメールをいくつもいただいたが、それもそのはず、これは広島で生まれ、西日本でしか売られていないパンだったのである。
「食べ物新日本奇行」では「メロンパン」も取り上げていた。それによると、ラグビーボール型白あん入りパンが存在し、それを「メロンパン」とする近畿・中国地方ではいわゆるメロンパン(半球形格子模様付き)のことを「サンライズ」と呼び、区別しているということだ(第11回「メロンパンとサンライズ」)。
だから、関西にしか住んだことのない私はサンライズが一般的にメロンパンと呼ばれていることを知らず、関東出身の友人は「サンライズ」という名称を聞いたことがなかったのである。
(厳密に言うと、半球形メロンパンとサンライズはまったく同じものではないらしい。サンライズの表面の模様は格子ではなく放射線状の線で、それが日の出を連想させるのが名前の由来ということだ)
ついでに、
「たしかに半球形メロンパンはマスクメロンを思わせる見た目をしている。でも私のメロンパンはメロンの味がするわけでも形がメロンに似ているわけでもないのに、どうしてメロンパンの名を語っているのだろう?」
という謎も解けた。それはマクワウリをイメージして作られたそう。なるほど……。

* * * * *

「名称が同じでも、地域によってはまったく異なった食べ物になる」例はほかにもいろいろある。
東京の人が大阪に来てきつねそばを食べたいと思ったら、「たぬきそば」と注文しなくてはならないことはよく知られているし、私は以前、ここで桜餅の食べ方について「葉っぱごと食べるか、それとも剥がして食べるか」と書き、こんなコメントをもらったことがある。
「小町さんの言う桜餅とは道明寺ですか?長命寺ですか?それによって私の場合、答えが違ってきます。道明寺なら食べませんが、長命寺なら食べます」
えっ、桜餅に種類があるの!?さっそく調べたところ、「道明寺」は関西の桜餅、「長命寺」は関東の桜餅、とわかってびっくり。

関西の桜餅、「道明寺」。私にとって桜餅といえばこれ。
つぶつぶのもち米であんを包んだもので、見た目は桜の葉っぱにくるまれたピンク色のおはぎ。

関東の桜餅、「長命寺」。
小麦粉を練ってクレープ状に焼いた生地であんを包んだもので、やはり薄いピンク色をしている。


もし関西人と関東人が「桜餅っておいしいよねえ」「私も大好きなのよ」という会話をしていたら、ふたりが思い浮かべているのはまったく別の和菓子なのである。

ううむ、なんでも書いてみるものだなあ。こういう発見があるから日記書きはおもしろい。
今回は「ところ変われば品変わる」の話をしたけれど、私は結婚して「(育った)家庭違えば食べ方違う」もつくづく感じている。
「えっ、それにそんなもん(調味料)かけるの!?」
と言ったり言われたり。その話はいずれまた。