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2005年04月01日(金) 子どもの性教育はいつから?(前編)

先日、世界の大温泉・スパワールドに行ったときのこと。
「やっぱ日本のお風呂が一番ええわあ」なんて言いながら、友人と渓流露天風呂に浸かっていたら、私よりいくらか年上に見える女性が男の子を連れて入ってきた。その瞬間、私と友人の目が合い、どちらからともなく言った。

「あの男の子って何歳やと思う?」
「私もいま同じこと考えた」

私のまわりには小さな子どもがいないし、彼女は独身である。どちらも子どもの年齢当ては不得意中の不得意であるが、「小学二、三年生ってとこじゃない?」で意見が一致した。
ものすごく発育のよい幼稚園児、なんてこともあるかもしれないけれど、体つきから推測する年齢は女湯に混じっていても何の違和感もないほど幼くはなかった。
彼が母親と一緒に杉の樽風呂に浸かっているのを見ながら、ふと思った。男の子というのはいくつくらいから女の体を意識するようになるのだろう?

「さあねえ。とりあえずあの子はまだやな」
「なんでわかるん」
「女の裸に興味持つようになるってことは、逆に自分も見られるのが恥ずかしいと思うようになるってことやろ?すでに意識してたら女湯なんかよう入らんと思うで」

なるほど、そういうものか。


という話を職場でしたところ、同僚のひとりがため息まじりに言った。
「いまの子どもは心より体より、頭が一番先やからなあ」
彼女は息子が小学二年生のときに突然、「ペニスって知ってる?」「お母さんもセックスしたん?」と言われ、仰天したことがあるそうだ。どこでそんなことを覚えてきたのかと慌てて訊いたら、学校で習ったと答えたという。

「そりゃあいつまでもおしべとめしべじゃあかんとは思うけど、二年生の子にそこまで教える必要あるっ?」

彼女が困惑半分、憤慨半分で言うのを聞きながら思い出したのは、少し前に読んだ『週刊文春』の記事。「小学一年向け『性教育副読本』こんな物凄い中身でいいの」というタイトルで、大阪府・吹田市教育委員会が発行している性教育副読本の内容が紹介されていた。
「お父さんはペニスをお母さんのワギナにくっつけて、せいしが外に出ないようにしてとどけます」
「お母さんのからだの中に入ったせいしはらんしと出会い、ひとつになって新しいいのちができるのです」

なんてストレートなんだ!こんなことを一年生でやるのか、と私はかなり驚いた。
ということは、子どもたちはその時点ですでに「おしべの花粉がめしべにくっついて実ができる」仕組みについて理解しているということなのだろうか。

ここでまたまた思い出したのが、わかぎゑふさんのエッセイ。男友達から聞いたという話だ。
五歳の息子とお風呂に入っていたら、お父さんの病気はいつ治るのかと心配そうに訊かれた。病気?何のことだと思ったら、息子はその可愛い手で父のイチモツをむぎゅと掴み、「これ腐ってるんとちゃうの?だって色ヘンやで」。
「アホ、腐ってないわ」
「ほんなら、傷んでるんの?」
「傷んでもない、大人のオチンチンはこういう色なんや!」
息子の顔が曇る。
「嘘ォ……みんなこんな灰色になるの?」

ええええ、灰色ォォ!?
……あ、いやいや、そういう話ではなくて(べつに何色でもよろしい)。
私が興味深く見るのは、父親のそれを「腐っている」と信じ込んでいたこの男の子が一年経つか経たないかのうちに「男の人と女の人が裸になってペニスとワギナをくっつけると……」を教えられるということだ。 (つづく