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2003年05月07日(水) 好きなCM

NTTドコモの「ケータイが、私たちを主人公にする。」のCMが好きだ。
どこかの田舎だろうか、ひなびた駅で男子高校生がベンチに座って電車を待っている。そこにクラスメイトとおぼしき女の子がやってきて、彼の隣に腰かける。「二限から体育あんねん」「うわ、きっつー」なんて会話を交わしながら、彼女はカバンから携帯電話を取り出す。
「ケータイな、カメラ付きに替えてん」
そして、「ま、とりあえず」とツーショットをパシャ。彼女は撮りたてほやほやのそれを眺め、「あかんわ、あんたの表情かたいわ」とくすっと笑う。「もっと、もっと寄ってよ」と男の子に注文をつけ、さらに顔を寄せてパシャ。
「うん、ましやん」
彼女は二枚目の写真を見ながら満足げに、じつにうれしそうに頷く。そこにナレーション。
「一番に撮るのはアイツって決めててん」

なんて爽やかなんだ。学生時代にこういうものがあったなら、私も意中の彼となんとか写真に収まろうとあの手この手を考えたにちがいない。で、戦果はもちろん待ち受け画面に。
そしてあるとき、ひとりでそれを眺めていると、私を驚かせようとこっそり近づいてきた彼に見られてしまうの。
「キャー!い、いまの……」
「ごめん、見えた」
「ばれちゃったか。ま、そういうこと。でも気にしないで!」
「ぜんぜん気づかなかった。でも……うれしかった」
なんてな〜。
部活に明け暮れ、好きな人のひとりも見つけられなかった高校時代。いまさらながら高校生の恋に憧れるのは、やり残した感があるからなのかもしれない。

春は爽やかなCMが多い。そろそろシリーズ第三弾がオンエアされるのではと私が楽しみにしているのが、サントリーの『緑水』のCM。
第一弾は宮崎あおいさん扮する女子大生が駅のホームで気になる男の子に出会うも、彼の隣には親しげに振る舞う彼女の親友の姿が、というストーリー。宮崎さんが発するセリフは「水で、こんなにちがうんだ」のひとことだけなのだが、その複雑な気持ちが表情としぐさから見事に伝わってくるのだ。
この続編もよかった。夏、サークルの仲間たちと渓流へ。宮崎さんが裸足になって川の中に入っていくと、うしろから彼が追いかけてきた。うれし恥ずかしい気持ちで奥へと歩いていくが、それもつかの間、親友が彼を追いかけてきた。宮崎さんは「すべるよ!」と親友に明るく声をかけつつ、せっかくいい雰囲気だったのにな……と内心がっかり。これまたこちらに伝えてくるものがある。
本当は互いに気になる存在なのに、なかなか向き合えないせつなさ、もどかしさ。こんな記憶があるわけでもないのに(いや、忘れているだけかもしれない)、「わかる、わかるわあ」と私につぶやかせる。宮崎さんのよく言えば素朴、率直に言えばもっさりした髪型と服装にも昔の自分と重なるものがあり、懐かしさがよみがえる。
春は恋が生まれる季節。テレビの中の爽やかカップルに自分を投影して、私もたくさん恋をさせてもらおうっと。

【あとがき】
ところで、ここ数年ペットボトルのお茶がとても流行っているじゃないですか。だから、いわゆる「お茶らしい」普通のネーミングは全部使われてしまっているから、よくわからない名前のお茶がどんどん出てきますね。「生茶」とか「聞茶」とか「まろ茶」はまだわかるとして、「うぶ茶」ってなんなんですか。山口智子がセミヌードになってCMやっていたけど、まさかうぶ毛のうぶ?緑水も初めて聞いたとき、「藻が入っていそう……」って思ったけど。