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2003年05月09日(金) キーワードは「劣情」

web日記読みを習慣にすることの利点のひとつに、巷でどんなことが話題になっているかをリアルタイムで把握できるということがある。
リンク集の新作リストには似たような更新報告コメントが並ぶので、それに目を通せば世の人がなにに注目しているのかは一目瞭然。半年前なら拉致問題、二ヶ月前ならイラク戦争、数週間前まではタマちゃん。そしてここ数日はやはり、「パナウェーブ研究所」であろう。
といっても、白装束集団一色のワイドショーを皮肉った内容のものが大半なのだが、この手の番組を相手に「もっと他に取りあげるべきことがあるだろうに」と嘆いてもしかたあるまい。駅の立ち食いそば屋で「そばの香りがちっともしない」と文句を言っても無駄なのと同じだ。
心配しなくても、この白装束集団に関する報道は今週をピークに尻すぼみになっていく。ワイドショーではまだまだトップ扱いだが、私は「この話題も老い先短いな」と確信している。
だって、白装束集団には“華”がないんだもん。彼らは「人々の心を捉えて離さないなにか」を持っていないのだ。
得体の知れない宗教集団という共通点だけで、「アレフ」ことオウム真理教と並べるのは失礼な気もするが、あの集団がテレビに出てきたとき、世の人が受けた衝撃は強烈だった。
まず、「尊師」と呼ばれている男の風貌に度肝を抜かれた。こ、これが教祖……?ホーリーネームだのイニシエーションだの、不思議なフレーズを口にし、流される映像もそれ空中浮遊だ、やれ水中クンバカだ、となにもかもがインチキくさい。
センスのなさも尋常でなかった。衆院選に立候補したときには宣伝カーの上で教祖の面をかぶった信者が歌い、オウムシスターズ(三人ともすごい美女だった)が躍った。事件を起こしたあとの、教祖の「わーたーしーはやってないー、潔白だあー」の歌声ひっくり返った人も少なくないだろう。
それなのに、教祖の脇を固めるのは東大、京大、早稲田といった一流大学卒の面々。そのわけのわからなさ、荒唐無稽さは小川知子の形相を変えてしまった「幸福の科学」や霊感商法と合同結婚式で一時ワイドショーを席巻した「統一教会」をもしのぐものだった。
たしかに十年に及ぶキャラバン生活、渦巻きマークを貼りつけたワゴン車、張りめぐらせた白い布、スカラー波にニビル星がどうのこうのと、白装束集団の言動は傍目には奇行としか映らぬものではあるが、世の人の関心を長く留めておくだけの派手さ、インパクトはない。
彼らには私たちの劣情を刺激する要素がないのだ。「あんな美女ばかりはべらせて、麻原はヤリまくってるにちがいない」とか「テッシーは山崎浩子をあきらめられるのだろうか」といった、下賤ではあるがもっとも人が興味をそそられる方面のネタがこの集団にはひとつもない。
強いて挙げるなら、千乃代表がむかしはきれいな人だったということだが、先日彼女にインタビューしたリポーターが「皺々の太った老婆だった。写真の面影はまったくなかった」と語ったおかげで、唯一ともいえる神秘性もこっぱみじんになってしまった。
代表は一向に表に出てこないし、上祐氏や青山弁護士のような際立ったキャラクターの信者もいない。それなのにワイドショーは「彼らはいったいどこへ向かうのでしょう」だけでよく二週間も持たせたものである。
キワモノ見たさの視聴者が彼らに飽きるのも時間の問題。もっとも、それでも信者にとっては「やっとか……」の思いだろうが。

【あとがき】
本文の中で千乃代表のことを「むかしはきれいだった」と書いたのですが、更新した翌日、ワイドショーで若かりし頃の写真を何枚か見たところ、ぜんぜんそんなことなかったです。私はよく映像が流れている例の一枚しか見ておらず、「この頃の人にしては」と思ったのですが、あれだけがものすごく映りがよかったみたい。
ところで、むかしからワイドショーで時の話題となり、なおかつ何週間も人々の関心を捉えて離さないのは「劣情をかきたてるものがある」という理由が大きいと思います。古くはロス疑惑の三浦和義、松山のホステス殺しの福田和子、和歌山毒物カレー事件の林真須美といった人たちは揃って突き抜けたキャラクターを持ち、事件の背景には「事実は小説より奇なり」を地で行くドラマ性がありました。また、芸能人の結婚より離婚のほうが騒がれるのも、人の劣情を揺さぶるものがあるからでしょうね。
このweb日記界でもそういう傾向は見られます。議論となるとヤジウマが増えてアクセス倍増だというし、一年ほど前にいわゆるデムパ系の女性日記書きが出現したことがありましたが、そのときもすごい騒ぎになってましたから。 あの人、どこ行ったんでしょうね。